「3時間見せきる。」リップヴァンウィンクルの花嫁 mg599さんの映画レビュー(感想・評価)
3時間見せきる。
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ストーリーテラー岩井俊二がその本領を発揮した。
とかく映像のセンスで語られることが多いと思われる岩井俊二だが、映像センスだけでは3時間はもたない。
「Love Letter」にしろ「スワロウテイル」にしろ「リリィ・シュシュのすべて」にしろ、そのストーリーテリングがものをいっている。
七海(黒木華)が鉄也(地曵豪)と出会って、結婚し、離婚するまでの物語の転がし方はあざやかというしかない。
翻弄される七海もかわいそうだが、ひと役かっている風の安室(綾野剛)がまたあやしげである。
そう、安室はあやしいのだ。七海が浮気しているかのような写真や動画を鉄也の母(原日出子)に送ったのは安室なのだ。
夫の浮気相手の彼氏(和田聰宏)ともつながっている。
この一件の解決を見ないまま、映画は終わってしまう。
安室が、里中真白(Cocco)の依頼を受けたのがいつだったのか。
これはもう想像するしかないのだが、七海は結婚式を憂鬱がっていた。それはSNSのブログで安室は知ることができる。
披露宴の代理出席を提案し、鉄也のことを調べ、、、いや、安室が真白の相手として七海を選んだのは、もっと前か。
そういえば、安室と七海が初めて会ったとき、安室はすぐに七海とわかった感じだった。
もしかすると、冒頭、七海と鉄也が初めて会うところも安室は見張ってた?そんなカメラワークにも思える。
このわからない、というのがなんともいい。いくらでも考えることができる。
そして、りりィである。
岩井俊二は、またひとつ傑作をものにした。
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