父を探して

劇場公開日:

父を探して

解説

ブラジルのインディペンデントアニメ界の新鋭アレ・アブレウ監督による長編アニメーション作品。全編セリフなしで描かれ、普遍的な寓話でありながら、ブラジルの現実も切り取った作風で、2014年のアヌシー国際アニメーション映画祭で最高賞にあたるクリスタルと観客賞をダブル受賞した。ある日、少年の父親は出稼ぎのためにどこかに旅立ってしまった。父親を見つけて、家に連れて帰ることを決意し、旅に出た少年を待ち受けていたのは、虐げられる農民たちの農村や、孤独が巣食う都会と、少年にとっては未知の広大な世界だった。少年は、行く先々で出会った大人たちや犬、音楽を奏でる楽隊の助けを得て父親を探していく。

2013年製作/80分/ブラジル
原題または英題:O Menino e o Mundo
配給:ニューディアー
劇場公開日:2016年3月19日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第88回 アカデミー賞(2016年)

ノミネート

長編アニメーション賞  
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映画レビュー

3.5探しに行ったら知らない世界があった

2024年11月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

手作り感のあるアニメ。 癒されるBGM。 セリフは、カロリーゼロ表記のように少しだけあるが無いものとされている。当然ながら字幕もなければ吹替もない。 終盤、実写映像が少しだけある。 今作はキャラの個性は弱いが、手書き風の背景の絵が好き。 好きすぎて関連グッズを探しにネットに行き、パンフレットを見つけたのでポチっとカートに入れ、送料無料になるまでもう少し何か一緒に買おうと思いながらネットサーフィン(「映画」から「劇場版けいおん!」、「けいおん!」から「痛車」へ、そして「イタッシャ―」から『非公式戦隊アキバレンジャー』という好みの作品に辿り着き、その作品の超合金の変形ロボットやBlu-rayボックス等を購入して満足したり)していた。 今作はHuluで視聴できる(ちなみに今作に関係ない話で申し訳ないが、『非公式戦隊アキバレンジャー』は現在、配信されているサービスはない)。

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Don-chan

3.5【”それでも僕は、出稼ぎに行ったお父さんを探す。”少年が近代ブラジルで行われる搾取される農民、伐採される森林、独裁政権が支配する都会を見ながら歩む姿を描いた魅力的で斬新な絵柄のアニメーション映画。】

2024年11月4日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

ー 今作では、アニメの人物は喋るが字幕が無いので、想像しながら鑑賞する。そして、ミニマルだが色彩豊かな、どこか温かみのある画も魅力的である。- ■親子3人で幸せな生活を送っていた少年。  だが、父がある日列車に乗って出稼ぎに旅立つ。  父を見つけて連れ戻そうと決意した少年は、過酷な労働が強いられる農村や、独裁政権がはびこる国際都市を旅し、出会いを重ねて、歩みを進めていく。 ◆感想 ・優しい絵柄の中で描かれる近代ブラジルで起きているだろう、事象が場合によっては映像や写真も駆使して描かれる。 ・少年の脚は一本の線で描かれるミニマルさであるが、決して貧相ではなく色彩豊かである。 ・少年は、レビュータイトルに記した様々な事を見ながらも、父を探す歩みを止めない。 <そして、今作では様々な事が暗喩的に描かれている気がする。それは、ネガティブな事であったり、ポジティブな事であったり。  だが、それは、全て観る側に解釈は委ねられるのである。  今作は、不思議なテイストの、けれども魅力的で斬新なアニメーション映画だと思います。>

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NOBU

3.0驚異の落書き

2023年4月11日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ノートの落書きのような手触りの絵が動き出すと、次から次へと予期せぬ描写で目を楽しませてくれます。それは、主人公の少年が父を探す旅にオーバーラップしているように感じました。今まで観たことのないような描写は、劇中でも描かれる万華鏡のように変幻自在で目が釘付けになりました。メイキング映像も興味深いです。CGが当たり前の時代だからこそ、手作りの温もりがよいですね。

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赤ヒゲ

4.0笛の音だけが

2022年12月5日
iPhoneアプリから投稿

アシンメトリーで縦横無尽な山村の世界と、シンメトリーで画一的な都市の世界。少年はその度合いが前者から後者へと移り変わる冷たいダイナミズムを肌のうちに感じながら冒険を続ける。またここには子供-大人という対比も込められている。少年は山村から都会へと進んでいくにつれ「父との再会」という子供らしい希望を徐々に奪取されていき、最終的には、電車から降りてくる無数の父との出会いを通じ、逆説的に「父はもうどこにもいない」という大人的な諦観へ辿り着く。多彩な音に彩られた反政府デモ隊は黒々とした政府軍の攻撃によって打ち破られ、農園や工場で機械のように働くことで生計を立てていた人々は本物の機械の登場によって駆逐されていく。極めつけは、子供が見ていた世界が実のところ彼の人生の軌跡そのものだったことが明かされるシーン。彼の冒険を支えくれた力なき青年も、弱り切った老爺も、すべては彼自身だった。つまりどれだけ厳しく冷たい世界であれ優しい誰かがきっと助けてくれるという一縷の望みさえもがここで寸断されるわけだ。最後に彼が思い浮かべるのはマッチが生み出す幻燈のように儚い空想図だ。そこには母がいて、父がいて、そしてあの聴き親しんだ笛の音がある。きっと笛の音だけがたった一つ残された希望なのだと思う。無数の声なき声たちがあの笛の音のもとに再び集まったならば、あるいは今度こそすべてを黒で塗り潰そうとする巨悪に立ち向かえるのかもしれない。

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因果