「主役は二階堂ふみであり、吉田羊であり、そして、女である」SCOOP! 全竜(3代目)さんの映画レビュー(感想・評価)
主役は二階堂ふみであり、吉田羊であり、そして、女である
《午後11時の映画祭》
『SCOOP! 』
下品でヤサグレた中年パパラッチを2枚目俳優の代名詞・天下の福山雅治が演じる違和感が拭えず、半信半疑で劇場に出向いたが、意外と様になっていて、面白い収穫だった。
そもそも下ネタはオールナイトニッポン時代から御手の物やし、実際に彼の新居にストーカー女が忍び込む大スキャンダルが起きたばかりで、世の中は一寸先は闇・魑魅魍魎ひしめく現代をレンズを通して皮肉っているから、何が起爆剤になるやら不思議である。
監督は『モテキ!』『まほろ駅前シリーズ』etc. でだらしない男VSクールな女の凸凹二人三脚に定評のある若き巨匠・大根仁。
今作でも雑誌のヤリ手編集者・吉田羊との掛け合いは、男と女の距離感を象徴しており、興味深い。
特に面倒を見るハメとなった新人アシスタント・二階堂ふみの波乱続きのスパルタ式現場育成は、ゴシップ好きな人間の業を娯楽要素で味付けしながら色濃く晒け出している。
政治からグラビア、性風俗まで手広くお色気サービスを盛り込む小気味の良さも嬉しい。
やがて、持ち前のイヤミなキャラを活かした滝藤賢一や、東京の裏を知り抜いた協力者リリー・フランキーetc. 一癖強い相棒達の出現により、福山カメラマンが何故、今の様に落ちぶれていったのか、秘められた過去が紐解かれ、スクープ合戦は新たな展開に観る者を導き、呑み込んでいく。
実際の凄惨な事件を連想させる男女のドラマを被写体に追いかける度に、福山&二階堂の凸凹コンビは共に成長し、人間心理の闇にスポットを当て、シリアスな陰が全体を覆い、取材描写に苦味を覚える。
仕事だけでなく、大人の男女として距離を縮めた二人。
ふと何気無い日に、福山は二階堂に、自分がカメラマンを志すキッカケは、かの伝説の戦場カメラマン、ロバート・キャパの作品と出逢ったからだと打ち明けるシーンは、ややベタだが、印象強い。
女と酒に眼がなく無頼派で戦場に散ったキャパの生涯をなぞらえるかの如く、壮絶な福山の生きざまにジャーナリストとして立ち会う二階堂が、衝撃の最期を見届けた時、男と女がレンズを回す浮世をフレームに納め、物語は完結する。
あまりに唐突なオチに絶句するが、マスコミの在り方を説教臭く説くような代物よりよっぽど潔い。
そう拍手した後、私はいつもの様にコンビニでエロ雑誌を感謝しながら、立ち読みするのであった。
では、最後に短歌を一首
『夜綴じて レンズ転がし ドブネズミ 濡れて路地裏 花火を手向け』
by全竜
そして、恒例の《スッポンポンデータ》で候
《制限区分》
R12+
《全編》
120分
《お楽しみ時間》
約5分(水着・ランジェリー・セミヌードも含む)
《お楽しみ時間所有率》
4.2%
《乳首の披露》
なし
《陰毛の披露》
なし
《ベッドシーン》
あり
《プロポーション》
★★★★☆
《芸術度》
★★★★☆
《物語性》
★★★★☆
《エンターテイメント性》
★★★★★
《興奮度》
★★★★☆
《オススメ度》
★★★★☆
《総合》
★25