「内容は漫画そのものだけど、3Dで観る価値はある映像」ドクター・ストレンジ 天秤座ルネッサンスさんの映画レビュー(感想・評価)
内容は漫画そのものだけど、3Dで観る価値はある映像
ストーリー性重視で映画を選ぶ性質なので、3D映画にはさほど食指は動かないのだけれども、この作品に関しては予告編などを見て、ぐねぐねとゆがむビルや崩壊し再生していく摩天楼の映像は3Dで観なければ意味がないだろう、と思い映画館へ。そして実際の映像はまさしく迫力のあるイメージを超えるものばかりで、やはり3Dで観るべきだと確信できたほど。本当に冒頭からエンディングまであらゆるシーンに映像技術が盛りだくさんで、使える技術とテクノロジーをすべて詰め込んだのでは?って思うほど。ここまでされたら、3Dで観るしかないよね、という気分にさせられる。
ただもう映像がメインになりすぎて、この映像技術で映像を作るためにストーリーが後からついてくる、とでもいうような映画なので、物語は本当にただ道筋を表しているだけという感じ。というか、分かり易く言えばそのまま「漫画」。今更説明は要らないMARVEL映画なので当然のことながらも、迫力のある3Dで映像化した漫画そのもの、という感じ。随所にあるツッコミどころで「これじゃまるで漫画じゃないか!」とツッコんだ後「ていうか漫画だからいいんだよ!」と思い直す、を繰り返す作業。これはこれで楽しいですよ。さすがに終盤では話の規模が大きくなりすぎてちょっと唖然としたけれども。
世間がMARVEL映画に求めている、体感するような迫力のある映像で漫画的な世界観のヒーロー・アクションをアトラクション的な作品、という意味では十分及第点以上。私にとって得意なジャンルではないけれど、頭を空っぽにして楽しませてもらいました。だから、レイチェル・マクアダムスを「ヒーローの恋人」程度にしか使えない男性本位な感じには目を瞑るし、ベネディクト・カンバーバッチがこんなドメジャー映画の主演をやるようになったんだねぇ、なんていう感慨については何も言わない。うん、言わない。
そして相変わらず個性的な役柄を演じて一際光るティルダ・スウィントンのカッコよさに惚れ直したのだった。