「本作とバットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生は、今後アメリカが進むべき道を模索している。見比べてこそ意味がある。」シビル・ウォー キャプテン・アメリカ さぽしゃさんの映画レビュー(感想・評価)
本作とバットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生は、今後アメリカが進むべき道を模索している。見比べてこそ意味がある。
タイトルに書いた『バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生』と本作は、ほぼほぼ言いたいことは同じだと思う。しかし、結論は大きく違っている。
ヒーロー達が独自の判断で悪者を退治した時に、民間人が犠牲になる。「地球を救う」という大儀の為なら、犠牲は致し方ないのか?しかし世の中は、そうは思わない。地球が救われたという事実より、目の前で亡くなった家族、その為に失われた足に同情が湧く。
だからヒーロー達はある機関の下に入って、そこの指示で動くように言われる。
これって当然、アメリカのメタファーなんでしょう。正義の旗を掲げて某国に攻め入った結果が、9.11に繋がる。銀河英雄伝説のヤンの言葉を借りれば、「一つの正義に対して、逆の方向に同じだけの質と量を持った正義が、必ず存在するのではないかと私は思っています」を、痛いほど思い知らされるアメリカ。
「地球を守るヒーロー達の行動で逆に民間人に被害が出てバッシング→力を封じられるヒーロー達」は、強大な力を封じられ、リーダーシップを発揮できなくなった、現在のアメリカの姿です。
名前に「アメリカ」と入っちゃってる、キャプテン・アメリカと、星条旗を背負って80年以上のスーパーマンの姿は、世界の中でどう行動すべきか?という現在のアメリカの悩める姿だと思います。そうやって観ると、この二作のラストは、感慨深いものがあります。
強力なリーダーとして自分の判断で行動し、その責任を負う。その考えを貫くキャプテン・アメリカ。
しかしスーパーマンは、違う。『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』の評価はもの凄く低いようですが、私はラストのスーパーマンの姿に好感を持ちました。
キャプテン・アメリカの考え方は、ヒトラーに近い(帰ってきたヒトラー参照のこと)。そして今までのアメリカの行いを、肯定するものです。
銀河英雄伝説のラインハルトに言わせればこうです。
「時に暴君が出現するからと言って、強力な主導性を持った政治の功を否定することはできまい」
決断できるリーダー、そしてそのことに責任を持てるリーダーは、嫌いではないですけどね。
同じく銀河英雄伝説のヤンが言うように「一つの正義に対して、逆の方向に同じだけの質と量を持った正義が、必ず存在するのではないかと私は思っています」と考えられないキャプテン・アメリカは、やばいかも知れない。何故ならそれは、独裁者の思考だからです。その作品の評価が高い世の中も、もしかしたらやばいかも知れない。
とはいえ、シビルウォーには、大好きなアントマン(巨大化することは、絶対に円谷プロリスペクト!)。
なんだったらその装備キャプテン・アメリカに譲ったら?のかっけーファルコン。
弓矢が得意なだけで身体能力は普通なのに、むちゃな戦いを強いられ重症を負い、でもへっちゃらだもん!だってリア充だから。他のヒーローよりプライベート充実してますから。な、ホークアイ。
なんでそんなに気怠いの?かったるいの?てかXMENに入った方がよくない?なスカーレット・ウィッチ。
天才、億万長者、おじさん、もう抱いて!と言うしかないアイアンマン。
未だにドン・チードルのキャスティングに違和感があるウオー・マシーン。
いきなりリーダーシップを取り始めたけどお前だれ?なヴィジョン。
高校生ならこのくらいのチャラさでOKかも?なスパイダーマン。てか、メイおばさん役が、いきなり若くなってびっくり!しかもマリサ・トメイじゃないか!!
*因みに歴代おばさま*
初代メイおばさん = ローズマリー・ハリス
二代目メイおばさん = サリー・フィールド(うを!豪華!)
三代目メイおばさん = マリサ・トメイ
初代は多分、80歳オーバーっすよ!
あと、幾ら続編があるとは言え、フューチャーしすぎな「マジであんま知らないんだよねー」な人格者のブラック・パンサー。
ブラック・パンサーの復讐の連鎖云々のメッセージは理解できますが、種を撒いたのはどこの国?って話です(笑)その悟り、とってつけた感ありますよ。
そして忘れちゃならない、今回も安定感のあるヘッドシザーズ・ホイップ(足で相手の首を挟んで投げ飛ばず)を多めに見せてくれるブラック・ウイドウ。
ええ、間違いなく今回多めです(笑)
サービスです!いや、この技のファン多いと思いますよ!
これだけの主役級キャラが、ぶつかりあう訳ですから、ファンとしては「やべ、たっのしー♡」なんです。私も本当に、楽しかったです。
それに比べると、VSつってながらなかなか戦わない『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』の一番盛り上がるとこって、ワンダー・ウーマン登場シーンだけっていう残念感。
ただ、このワンダー・ウーマンが登場することで、絶対的権力者・君主・神(スーパーマン)に立ち向かう、民間人代表(バットマン)の構図が崩れてしまい、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』の時と同じ感情が芽生えました。
過去複数作品からの繋がり、そして公開予定複数作品への繋がりで、ワンダー・ウーマン&その他を出さなくちゃいけなくて、過去作品ファンへのサービス目配せもせなならんし、だって、スーパーマンの弱点ってさ、みんな知ってるっしょ?有名っしょ?そこ盛り上げるのきついっす(ここ厳しいよね)!ってこともあり、で、あーだこーだで、2時間半!脚本家さん、本当にお疲れ様でございました。
あ、『スーサイド・スクワット』&『ワンダー・ウーマン』楽しみにしてます!