劇場公開日 2016年2月27日

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ザ・ブリザード : 映画評論・批評

2016年2月16日更新

2016年2月27日より丸の内TOEIほかにてロードショー

実力派キャストが大吹雪の中で勇気を振り絞る、迫真の海洋アクション

よくあるディザスター・ムービーとはちょっと違う。セピア色の写真から浮かび上がったような古き良き時代のノスタルジーを随所に配し、登場人物それぞれが己の限界を超えていく姿を切々と描き出す。その実直ぶりが良い。何よりもクリス・パインケイシー・アフレックベン・フォスターという実力派揃いのキャスティングを目にするだけで、作り手の強いこだわりが伝わってくる。

時は50年代、大西洋を航海中の巨大タンカーが大吹雪に見舞われ、その威力によって船体は修理したばかりの継ぎ目から真っ二つに分断。取り残された船員たちが知恵と勇気を振り絞って生き延びようとする中、地上からは若き沿岸警備隊4人が決死の覚悟で救助へ向かうが……。

従来、見渡す限り同じ光景が広がる海洋モノというジャンルでは、どうしてもアクションやビジュアルが単調になりがち。だが、「ラースと、その彼女」(07)などのユニークな人間描写で知られるクレイグ・ギレスピー監督は、地上、救助艇、タンカー内のドラマを巧みにオーバーラップさせながらそのジレンマを克服。救出へ向けたボルテージを見事なまでに引き上げていく。

とりわけ、今にも仲間割れが起こりそうなタンカー内では、一等機関士を演じるケイシー・アフレックが根気強い説得でクルーをしっかりとまとめ上げ、奇想天外なサバイバル作戦に全ての望みを託そうとする。それに、地上でも警備隊員のクリス・パインが、過去の任務で救えなかった命を悔いながら「もう誰も死なせない!」と20メートル級のうねりを見せる荒波へ漕ぎ出していく。そうやって伸びる双方の執念のベクトルが奇跡的に交わる海上の一点においてのみ、彼らが初めて顔を合わせるという語り口も気が利いている。

これがノンフィクションという点も説得力を強める一因となろう。現在地もわからず、交信もできず、一寸先の視界さえはっきりとしない。そういった絶望的な状況を前に、勇気と機転とチームワークによって絶対難度の荒ワザを繰り出す彼ら。無謀だ!危険過ぎる!とツッコミを入れたくもなるが、しかし規則や慣習を退路の言い訳にはせず、自らの状況判断で可能性を切り開く姿はグッとくる。希望とはこうして掴み取るべきもの。観客にそう強く伝える芯の通った快作である。

牛津厚信

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