「理想に邁進するパワーだけは感心する」スティーブ・ジョブズ うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
理想に邁進するパワーだけは感心する
ほとんどが会話。
そして、プレゼンを直前に控えた時に、あちこちから問題が持ち上がり、強気に指示、命令をする状況ばかり。
過ぎた時間の分だけ、状況はステップアップしていて、iMacの発表前には、劇的に会社の状況が好転している。
でも、彼の周りは問題が山積み。
へこたれずに、一切妥協しようとしない姿勢は多くの敵を作り、周囲の人間は振り回されることにうんざりしている。
これが彼の実像なのだとしたら、とても尊敬できないし、映画としてのカタルシスもない。
ところで、どのくらい忠実に事実を映画にしたのか。
それともほとんどが演出なのか。
最近見た映画に、「女神の見えざる手」というのがあった。ジェシカ・チャスティンが、やり手のロビイストを演じ、全米ライフル協会を敵に回して戦うフィクションで、とても見ごたえのある映画だった。
その映画も、ほとんどが会話の応酬で、ジェシカは敵を作りながらもチームを引っ張り、勝利に向かって突き進む。
実在の人物(故人)を扱った会話劇と、架空の人物(モデルはいるようだが)が主人公の会話劇。構成が似ているのに、映画の印象は大きく違う。
はっきり言って、この映画を見て、ジョブズのことを好きでいられる人が、どれだけいるのか。この映画を見て、彼を目指す人が、どれだけいるのか。彼の成し遂げたことを理解した人が、どれだけいるのか。
はなはだ疑問だ。
2017.12.2