「心の傷は思うほど消えない」映画 聲の形 mrkc7さんの映画レビュー(感想・評価)
心の傷は思うほど消えない
9月2日に「きみの色」を観て、7日に今作を観た。
良い作品と書くと陳腐でしか無い。なかなか心のザワつきが治らない。
美しい背景に西屋太志さんの描いたキャラクター。絵として素晴らしい。そこに極めて重いテーマが乗っかってる。手話のシーン、雰囲気でわかる「ありがとう」も訳さないなど必要以上に意味をフォローしない。でも心の動きを含めて理解できる。音楽が補完補強する。脚本、演出を含めて凄い作品だと感じた。5日前に観た映画の比べようの無い程の良さだった。これをまとめ上げた山田尚子監督の素晴らしさを心底感じた。
(あれ?西谷さん以外ほぼ同じチームなのに?w)
聾者と書くとタイトルの意味とつながる。心に傷を与えた将也は逆に傷つく。硝子は自分に関わる人にネガティブな影響を与える事に傷を深くする。聾者をからかう小学生時代の過ちとすれ違いを高校まで引きずって2人とも自殺を考えてしまう。
他人が思うより心の傷は深い事がある。埋めようとしても埋まらない。埋まりかけてもまた深くなる。これを繰り返していく中での事件。雨降って地固まる。一応の解決を見て物語は終わるが、おそらくまた顔にバッテンが付くことも多いだろうな、植野のバッテンが外れたり付いたり繰り返してた様に。
けど、きっともう大丈夫。
舞台は大垣市。岐阜養老天命反転地も出てきて舞台を大事に描いたのも好感が持てる。行ってみたくなる良い描き方だと思った。岐阜は最近テレビシリーズでも、変人のサラダボウル、小市民シリーズでも描かれているので久しぶりに行ってみたい。
最後に観たのが、「人権を考える区民のつどい映画会」という催事だったのが心残りだった。サブスクだと雑念が多いのでそれを遮断出来たのは良かったが区民ホールの映写、音響では限界がある。どうせなら学生など若い人に見て欲しいです映画だったが高齢者がほとんど。無料事前申し込み指定席制、400人定員のところ150席足らずの用意、それでも多く見て7割の入り。挨拶した区長は「子供にも人権意識を持ってもらいたいのでアニメ」と。アニメは子供向きっていうのは偏見では?なんか色々うまく行ってなかった。