劇場公開日 2016年9月17日

「痛くて、素晴らしい映画」映画 聲の形 unangpさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5痛くて、素晴らしい映画

2017年12月3日
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原作読んでないんですけども、とてもよい映画でした。
これは多分原作の良さなんだと思うのですが、観ている人は自分の学生時代を思い出して、登場人物の誰か一人に、もしくは複数の登場人物に自分を重ねます。
そして自分の学生時代を思い出しながら、痛いなあ、と心にあの頃の痛みを蘇らせ、共感し、泣けるのです。
京アニの演出も、声優さんも、音楽も、素晴らしかった。
とても丁寧に丹念にあの頃の痛さを描いています。
痛い出来事と、演出として作られたその後の余韻。
余韻によって更に痛さを味わうようなかんじになります。
痛くてヒリヒリする。
できればここから逃げたいと思う。
でも、しかし、ここに留まりたいとも思う。
この時間が終わってほしくない。
この痛い時間。
痛いけれども、その向こうにある恵み。
痛くなければ味わえない恵みの時間。
よく「甘酸っぱい」とか表現されますが、これってまさに少年/少女時代ならではの、あの頃にしか味わえないそのままのあの感覚ですよね。
私は期せずしてもう既に随分大人になってしまったのですが、そんな私が自分の少年時代を蘇らせ、ヒリヒリ痛くて、でもそれがとてもとても愛おしいと思える。
そんな、痛くて素晴らしい映画でした。
原作も読まねば、と思っています。

unangp