「思いこまない思いつめない。」映画 聲の形 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
思いこまない思いつめない。
京都アニメーションの作品を初めて観たが確かによく出来ている。
私には若干白っぽい色合いで(目が悪いのでゴメンね)観辛い箇所
もあったが概ね柔らかい画の中で繰り広げられる話はかなり重い。
イジメていた少年が、突然手のひら返しに遭い、孤立を深めた後
自殺まで考えたりする冒頭。キツイな~この話。と思い観始めて
からも精神的にヘビーな状態が続く。そもそも根から腐っている
奴なら反省などしないし、その子の元へ謝りにも行かないだろう。
無邪気では済まない悪戯が度を超え、親を巻き込んでからやっと
償いに目覚めるのも少年ならでは。こんな歳になってから観ると、
子供の頃は喧嘩やイジメをどんな風に捉えていたか考えてしまう。
主人公は実は腐った悪ガキというより、どちらかというと素直で
優しい男の子だった。イジメていた女子に謝りに行き友達になり
たいとパンを片手に右往左往する(爆)その姿は可愛い。付き合い
が始まり、互いの手話で話す様子も思い切って声を出すところも
あぁ青春~という感じで微笑ましい。周囲のキャラも多岐に渡り、
あ~いるいる、こういう子というのがリアルで、癒しにも毒にも
なる性格の違いが非常に分かりやすい。しかし現代の若者たちは
友達1人作るのがこんなに大変なの?作るのに定義が必要なんて。
単なるラブストーリーでなくあらゆる事象を群像劇化したことで
主人公の家族や友人の立場、想いが深く読めることから傷ついて
死を選ぼうとする心の歪みが理解できてくる。そんな選択をする
のは、まだその先の人生が何も見えていないからだけど、今から
自分で前に引き寄せてんじゃないよ!と引っ叩いてやりたくなる
危うさの先に素敵な未来が待っていることをオバサンは知ってる。
(孤独のススメ。孤独と孤立は別物。自分を客観視する場は必要)