「団塊世代に観て欲しい」葛城事件 クリストフさんの映画レビュー(感想・評価)
団塊世代に観て欲しい
父親清の説明で、父親の思い、と書いてあるが、清は元々こーゆー人でしかない。常に自分が正しいとしか思ってない。
中華料理屋での話が特にそうで、自分の60代父親も昔、一見のトンカツ屋で同じ様な行動をした事があり、すごく「やだ見」だった。だから、団塊世代の父親というよりは、自分の父親に観て欲しい。かと言って、父親にあまり勧めたくもない。
個人的にはこの三浦友和の清がインパクト強かったが、この中の人物皆自分勝手、独り善がり。
母親南果歩は、一見優しそうで自分の都合ばかり優先させる。子供はかわいいのは当然だがそれだけで、厳しさを見せるのは面倒臭いのであろう。食事が全て自炊ではなく弁当や即席麺というのが象徴的。
兄新井は親のご機嫌を伺って優等生で過ごし、いざ社会に出ると取り柄がなく厳しさを痛感し、自分が正しいと思ってるから親にも妻にも相談せず、一人で抱え込んで終いにパンク。
弟若葉は優等生の兄と常に比較され卑屈になり、やりたい事が見つからない中、父には蔑まれ母からは優しくされるのみ。兄からも蔑まれてると思っているのでまともに会話も出来ず、終いには無差別殺人という勝手な結論で死刑を望む。
若葉と獄中結婚した田中麗奈も、死刑反対を大義名分に、自分なら若葉に愛情を注げるという勝手な思い込み。烏滸がましい。
若葉がナイフを取り出した際、後ろで見てたサラリーマンも、この後の事件を予測しながらも止めたり声掛けたりしなかったのは、自分の身可愛さ。でも同じ状況だったら自分でも声掛けないかも。怖すぎて。
田中麗奈の役は不要な気もするが、この家族、何処にでもある話。全部やだ見。
この話を少し楽しくしたのが、「ぼくたちの家族」で、こちらの方が救いがある。この話は皆不幸。
あまりお勧めでは無いが、忘れ難い話。