アバウト・レイ 16歳の決断のレビュー・感想・評価
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「息子」の母になること
なかなか親離れできず
子供の成長ももて余し気味
自分の過去にも振り回されて
女盛りな母の微かな成長の物語。
クィアな「息子」を受け入れるのに
この母はどれだけの苦悩を経たのだろう。
自分のせいかもしれないと
己を責めたりしたかもしれない。
そんな背景にふと想いを馳せると
彼女が実にか弱く思えてくる。
ナオミ・ワッツが好演。
エル・ファニングも負けず熱演。
腋毛にどきりとする。
一口にLGBTといっても、T(トランスジェンダー)は他と違う苦しみ...
エルとナオミ
邦題がいけない
困難が待ち構えていようが『本物』になりたいのか、無難に『普通』のままで生きていくのか
レイは、「男の子」になりたいんだよね。みんなからも男として認めてもらいたい。だから、心身ともに『本物』の男の子に早くなりたいと願っている。まるでレイの心は、たっぷりと水をたたえたガラス鉢のように、透明さ、ピュアさ、と一緒に、割れやすい危なっかしさが同居している。
母親マギーは、そんなレイを理解しつつも、ホルモン療法を受けるための親の承諾書にサインすることを、この期に及んで迷っている。ほんとにそれがレイのためなにか?と。あとで後悔したりしないかと。『普通』の女の子のままではいけないのかと。
ふたりの葛藤が、痛々しくも狂おしく、親子として認めあっているからこそ応援しつつぶつかり合う。
同居する祖母は、レズでパートナーも一緒に住んでいるのだが、この二人の関わり方の距離感が、どれほどレイとマギーを助けていることか。それぞれの「男の子になりたいレイ」への愛が溢れていた。また穏やかな音楽にも救われた。
マギーには過去に過ちがあったが、いくつもの障害を乗り越えて、みんなで食事をする場面には、今の現実を受け入れる寛容な心を持ち合わせた人たちの優しさで満たされていた。
女優陣の魅力のみ
レズビアンである祖母ドリーと、そのパートナーのフラニー。
そんな父親のいない家庭で育ち、現在シングルマザーのマギー。
その子供でトランスジェンダーのレイ(ラモーナ)。
16歳のレイがホルモン治療をすることを決めたことで始まる、家族の葛藤や関わり方を描いた作品なんだけど…全体的になんか薄っぺらく感じたな。
3世代の『性』の違い。
いわゆる『普通』とは違う家族のかたち。
初めて会う父親。
出生にまつわる秘密。
トランスジェンダーに対する偏見。
レイの初恋。
これだけ濃い題材を扱いながら、ぶち込んでごった煮にしただけ。
工夫がないから、深みがなくて大味も大味なのよね…もったいない。
あまりに中途半端で
その『性』や環境にいる人達を軽視してるんじゃないの?…とさえ思っちゃうくらいよ。
救いは女優陣の魅力だよね…全くそれに尽きる。
やっぱりエル・ファニングちゃんがいいんだよな。
あの佇まい…ホントに思春期の男の子に見えたよ。
加えて、お化粧やヘアスタイルなど飾りがないぶんナチュラルな美しさが際立ってた。
特に繊細に物語る瞳のチカラにはココロを掴まれる。
ナオミ・ワッツもきれい。
レイの治療について悩みながらも奔走する姿が、これまでの役の多くと違い、強くなくてちゃんとしすぎてなくて人間味を感じられたよ。
ダメながらに憎みきれないバランスの妙…っていうのかな。
美人さんじゃないけどスーザン・サランドンの存在感がカッコ良かった。
達観したというか飄々とした中の逞しさが、作品のブレをキュッと締めてた感じ。
リンダ・エモンド演じるフラニーの、あの低め安定のテンションも好き…っていうか忘れちゃイケナイね。
ふらっと登場しては、ピリッとドスンと核心を突くんだ…誰よりも深い包容力を持ってさ。
そんな4人を含む、関わった全員で食卓を囲むシーン。
それは皆さんイイ笑顔でね…
『ご家族みなさんお幸せそうで羨ましいですわぁ〜』と声をかけたくなるような温かさなんだ。
でも、ただそれだけ。
そこに至る経緯がペランペランだから、胸にジーンと来るものは無いっす。
逆に『安易なラストだぜ…』ってなもんですわ。
チキチンッ♪
母が微妙だけど
問題盛りだくさんの家族だなぁ
家族の再構築の物語
性同一性障害の子どもが男性になるためのホルモン治療を受けることになった家族の話。
そもそも彼(元彼女)の家族が普通でない。レズビアンの祖母とそのパートナー、ヘテロの母、そしてトランスジェンダーの息子(元娘)の同居。その奇妙さに違和感ではなく、温かみも感じてしまうのがアメリカの現在なのだろう。それでも様々な無理解や偏見と闘わなければならない。レイが自らのあるべき姿に戻ろうとする姿には心を打たれた。
でも原題が示す通りこの映画はレイの映画ではない。祖母、母、息子がお互いを認め合うことで家族として再構築する物語だ。
そういう意味でラストシーンの感動は格別だった。
あと、エル・ファニングの演技に度肝を抜かれた。「パーティで女の子に〜」で見せたキュートさはどこに行ったのか。少年レイを見事に演じていた。
それぞれが感じること
自分の好きな女優が多く出演しているため鑑賞。自分でも納得する展開であった。
ストーリーはトランスジェンダーを希望する娘とその家族の物語であるが、テーマが重いだけに映画全体の雰囲気は重々しく感じた。
演技に関しては、エル・ファニングも普通に良かったし、スーザン・サランドンも良かった。個人的にはナオミ・ワッツの演技がかなり良かった。ストレスフルな役を見事に演じたと思う。
ストーリーに起伏はあまり無かったが、ラストはかなり個人的に良かった。
LGBT系の映画はテーマが重いだけに、演出をどう工夫するかが重要だと思う。本作においてはカメラワークが個人的には好きだったが、ユーモラスな会話に加え、もう少し演出によって重々しさが軽減されれば、個人的には完璧であった。
家族の形
試写にて
決断の内容よりも、16歳ゆえの複雑な親心。
レイについて、家族会議しなくては⁉︎
かなり深刻な内容…!
パンフレットの表紙から、もっと明るい内容だと思っていました。
しかし、予想以上に緊迫した内容でした。
体は女でも、男として生きていきたいと願うのは16歳のレイ。
男になるには手術が必要です。
でも、母と祖母はなかなか現実を受け入れてもらえず厳しい状況…⁉︎
レイの中では、男以外の選択はないと断言しいるのに対し、
母と祖母は「いつかやつぱり女の子に戻りたくなるかも…」と決断に踏み切れないのです。
堂々巡りの状況に陥る家族…。
さらに頭を悩ませるのは、別れた夫のサインが必要という事実…。
母は元夫の元を再び訪れることになるのでしょうか?
この映画はひたすらに、家族がレイのことで悩み続ける物語…。
家族とレイの家族関係をメインとして描いています。
正直な話、映画のタイトルから、レイが性別で悩む話だと思っていました。
しかし映画では、レイが男になる決意を固めた状態からスタートしたことにびっくりしました。
翻訳タイトルだけで映画を観ようとすると誤解を受けると思います…。
でも、レイや家族がこの病気で懸命に悩み苦しんでいることは伝わってきます。
複雑な心境ではありますが、この映画の良さをもっと引き出すためにも、日本語のタイトルにもう少し留意するべきです…。
そうしたら、この映画がもっと魅力的になった気がします。
最後に…最終的に家族はレイをどこまで応援するのか…?
レイがどんな人生を選択したのか、乞うご期待です。
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