「巧みな解説技法」マネー・ショート 華麗なる大逆転 tabletapさんの映画レビュー(感想・評価)
巧みな解説技法
非常にわかりやすい例えや、演者の反応から難解さは感じなかった
本作の解説技法は卓越している
冒頭のマーク・トウェイン(『トム・ソーヤーの冒険』著者)の名言は無視することになるが
本作を見るには少し肩の力抜いたほうが良いのではないかな
わかったつもりで見る視聴者へ皮肉な気分を味わわせる趣向なら中々面白い
米国住宅バブル崩壊を投資家視点から描いた作品
主人公たちの奔走、その一方センメルヴェイス反射している銀行家たちの様子を面白おかしく映している
全くストーリーに関係ない本当にくだらない雑談で図付きの説明
フィクションはフィクションとして明確に説明
メタ的な表現で入る注釈
急に説明に挟み込まれるシェフ、女優
こうした解説技法や笑いの塩梅がとてもよい
名優たちをつかったコメディとして楽しめた
吹替版もとても良い
ただ住宅バブル崩壊の様子を知りたいなら
『キャピタリズム〜マネーは踊る〜』を見ればいいかな
あちらはドキュメンタリーとして面白い、多分本作も参考にしているだろう
さて、問題の邦題だが"ショート"の意味が金融用語でそもそも馴染みがないのに
わざわざ原題から変えて意味不明にするとは驚愕する
原作本に『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』というとてもいいタイトルがあるのに
「ビッグショート?何の話か分かんねえな、金の話だろ、"マネー"つけとけつけとけ、うーん、そのままだと客入らないから、そうだな逆転劇ってことにしとくか、そんなに違わないだろ、あとは・・・お、ウォールストリートって言えばそういや最近『ウルフ・オブ・ウォールストリート』主演のレオナルド・ディカプリオの作品で『華麗なるギャッツビー』ってのがあったな、よし副題は華麗なる大逆転にしよう!」
って程度の発想にしか思えないが・・・
この手の作品に手をだす客層を理解していない残念な邦題
そして字幕も"401k"と書いて誰が確定拠出年金だとわかるのか・・・
難解だとすればこうした字幕の不親切さがある
良作