「巨悪に対する告発状」マネー・ショート 華麗なる大逆転 Golgo14さんの映画レビュー(感想・評価)
巨悪に対する告発状
アメリカの住宅ローンの仕組みとデリバティブ(金融派生)商品のオプション取引を多少とも知らないと理解が難しい作品。
本作品に対する評価は
①取り上げたテーマは良かった。
事実に基づいていてもいなくてもリーマンショックの裏側を扱った映画は皆無なのだから。
②邦題は完全に的外れ。
原題は"The Big Short" 直訳すれば”大いなる空売り”
日本語で”マネーがショート”と言えば資金が不足することを指す。
ましてやサブタイトルの”華麗なる大逆転”は完全にチョンボ。
まったく”華麗”ではないのだから。
③余計なシーンが散見される。
マイケルの少年時代のフットボールの場面、マークの少年時代にユダヤ教のレビが訪問するシーン、ジャレッドが劇中でストーリーを解説する場面など。
後のストーリー展開にさほど意味をなさないものが多い。
これでアカデミー脚色賞?
そんな無駄なシーンを探すのも楽しみの1つとは言えるけど。
④クリスチャン・ベールとスティーブ・カレルは熱演していたけど、ライアン・ゴズリングはイマイチ。
”スーパーチューズデー”でもそうなのだけど、彼は・・・・ (個人的な好みかも)
⑤これだけ世界的な恐慌を引き起こした関係者が誰も訴追されなかったことをもっと怒りを込めて訴えて欲しかった。
リーマン・ブラザーズ経営陣だけではなく、SEC(証券取引委員会)、FRB(連邦準備制度理事会)議長、格付け会社(ムーディーズ、S&P社)トップ など。
アメリカでは横領、脱税などの不正だけではなく、企業を倒産させた経営者が訴追、収監されることはよくある。ましてや今回のサブプライムローンに端を発した世界恐慌は犯罪そのものである。
リーマン・ブラザーズ以上にMBS、CDOを発行していたAIGをアメリカ政府は(世界的な影響が大きすぎて)救済したので彼らを訴追出来なかったのか。