「【アダム・マッケイ監督がリーマン・ショックのきっかけとなったサブプライムの仕組みをコミカル要素を交え分かり易いた作品】」マネー・ショート 華麗なる大逆転 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【アダム・マッケイ監督がリーマン・ショックのきっかけとなったサブプライムの仕組みをコミカル要素を交え分かり易いた作品】
<登場人物が魅力的>
1.クリスチャン・ベールが演じた裸足で、ヘビメタを大音量で聴く風変わりな投資家、マイケル・バーリ
2.スティーブ・カレルが演じた短期だが正義感溢れるヘッジ・ファンド・マネージャー、マーク・バウム
3.ライアン・ゴズリング演じるドイツ銀行に勤める野心家の銀行マン、ジャレド・ベネット
4.ブラッド・ピット演じる伝説の元銀行家。破滅論者でもある、ベン・リッカート
バーリは、サブプライム(低所得者向けの住宅ローン)”金融商品”の危うさに気付き、近いうちデフォルト(債務不履行)に陥ると判断し、彼は高騰する住宅ローン証券の『空売り』を目指す。
彼が目を付けたのは「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」というデリバティブ取引(金融派生商品)
住宅バブルが崩壊すると、投資金の何十倍の利益を得ることが出来る。
バーリの動きを察知したジャレド・ベネットはマーク・バウムを説得し、CDSに大金を投資すべきと勧める。
他の若き投資家たちも目を付けるが、資金が足りないため、ベン・リッカートの支援を受ける。
”実に難解な内容であるが、ここでアダム・マッケイ監督のコメディ畑で培ってきた辣腕が冴える”
彼は、難解な金融商品の本質を
・無人で荒廃した”新築住宅街(ワニが泳ぐプール・・)”をジャレド・ベネットや若手投資家たちを歩かせたり・・、
・マーゴット・ロビーが泡風呂に入り長い足を風呂の中からのぞかせ、シャンパンを飲みながら分かり易く”金融ローンの謎について”観客に向かって”解き明かしたり・・、
・有名シェフでテレビキャスターのアンソニー・ボーディンが危うい危険な金融資産を”危ないものは良品と混ぜてしまえば分からない”とにっこり笑いながら”観客に向かって”語り掛ける。
というシーンを効果的に取り入れる事で、観ている側に難解な金融商品について、分かり易く説明するのだ。
ロング:通常株式で値上がりを予測し、安値の時に購入する事
ショート:値下がりを予測し高値の時に売る事
という簡単な株取引を更に突っ込んで、MBS(モーゲージ債)、CDO(債務担保証券)とCDS(上記)にまで広げて、リーマンショックの実態の”ある”側面”を描いた。
<アダム・マッケイ監督が今までにないスタイルで難解な金融映画を分かり易く、一級のエンターテインメント作品として成立させた作品。>
<2016年3月4日 劇場にて鑑賞>