DOGLEGS

劇場公開日:

解説

1991年に旗揚げした障害者プロレス団体「ドッグレッグス」の活動を追ったドキュメンタリー。清掃員として働きながら、設立当初から「ドッグレッグス」でのスター選手としてリングに上がるサンボ慎太郎は、年齢的にもプロレスからの引退を考えていた。慎太郎のライバルで、健常者レスラーとして「ドッグレッグス」のリングに上がるアンチテーゼ北島は、「最後にアンチテーゼ北島と対戦し引退したい」という慎太郎からの挑戦を「勝者だけが引退できる」という条件つきで承諾する。慎太郎、北島のほか、女装癖があり、重度のアルコール中毒のレスラー・愛人(ラマン)、その妻・ミセス愛人(ミセスラマン)など、「ドッグレッグス」を取り巻く仲間たちの、笑いあり涙ありの日常を追っていく。監督は本作品が長編ドキュメンタリーの初監督作となるニュージーランド人の映像作家ヒース・カズンズ。

2015年製作/89分/アメリカ
原題:Doglegs
配給:トリウッド、ポレポレ東中野
劇場公開日:2016年1月9日

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(C)Ivan Kovac

映画レビュー

5.0介護、福祉業界歴10年以上の私から見た当作品。

2021年5月7日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

共生社会、ノーマライゼーションが謳われてる昨今。
障害者も健常者も共に生きるのが望ましいと言われていながらも、
殆どの健常者は障害者と触れ合ったこともない。
自ら福祉施設、作業所等に出向く人、ボランティアに励む人なんてどれくらいいるだろうか?
結局は障害者を奇異の目で見て、避けているのが現実。

前置きが長くなったが、この作品に登場する障害者プロレスは相手が身体障害者だから
手加減するとか一切ありません。

障害を持っている人たちもこのように本気でぶつかってほしいのではないか?
なんで勝手に奇異の目で見て障害者を避けてるのか?
うわべだけのノーマライゼーションなんていりません。

映像で、支援者側が障害者を相手に本気で殴り流血させ戦う始末。これはある意味スゴイ。
この業界に明るい私もこんなの見たことがない。
縁あって出演している方と話すことができたが、マジもの作品です。
本気でぶつかり合って流血もケガもしたとのこと。
権利にうるさい人や障害者虐待だとうるさい人がみたら激怒しそうな作品です。
だからこそすごい。

この作品は一見の価値があります!

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くに

5.0リングの上より厳しい、社会の中。

2020年6月2日
iPhoneアプリから投稿

・アンチテーゼ北島の理念が見える。「リングの上より、社会のほうがよっぽど厳しい」。これを言葉で敢えて言わずに、戦う姿で見せる。心の底から応援してるくせに。ツンデレすぎ。

・同情しないことが許されるのは、深く踏み行った人だけではないか?

・台詞の字幕の文字おこしをしてくれた人に感謝

・重度障害者の方は、こういう体で生まれてきて不幸だったか?いや、むしろ彼だから感じられる幸せがあったのだと、親子試合を見守る表情で感じられる。

・中盤にズドンと落として、恋模様でほっとさせ、最後にズドンの傷をしっかり癒すという構成が素晴らしすぎる。

・北島は慎太郎に辞めてもらっては困る部分もある気がする。100本気の論理を展開して、なんだかんだ慎太郎を続投させている。そこが一番容赦ないわ、アンチテーゼ北島。

・見ていると自分の心が殴られている気がしてくる。しかもそれが不快じゃない。なぜだか少し心地よさもある。
それはまさに映画の中で語られている性的快感の疑似体験なのではないか。
しかもそれは監督の意図していないところで、偶然の産物として生まれている気がする。

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DEPO LABO

5.0カッコいい

2019年4月18日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

興奮

映像がカッコいい、いや、レスラーたちがカッコいい!
体の自由が利かない者、体を自由に動かせても心が思うようにならない者、そして心身ともに自由が利く者や家族などまでをも巻き込んだ壮絶なエンターテインメントに、心が揺さぶられる。
もちろん障害者がプロレスをするということ自体が興味深いことであり、インパクトがある。しかし、そこにあるのは異質なものへの興味本位というものではなく、確立されたエンタメ性であり、それに加えて人間の根源的な所作を目の当たりにするような感覚でその絡み合いを目にし、異様な感動を覚えてしまう。
一見すると醜悪に見えてしまう事柄が、その裏側に隠されているドラマを見れば見るほどに、すべてが格好良く見えてくるからすごく不思議。通常では有り得ないものを武器として、臆することなくすべてを出し切るその勇気は、尋常ならざるものに他ならない。リングに上がっているだけで、そこには誇りと勇気が漲っている。
このドキュメンタリーは、そのかっこよさを見事に表現しきった、文字通りカッコいい映画だった。

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SH

4.0あなたはDOGLEGSをみましたか?

2018年10月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

見てる途中から涙が止まらなかった。何の涙なのか分からない。
ただ可哀想だとか気の毒だとか、それはスクリーンの中の障害者に向けられたものではなく、自分に向けられていて、特に自分の“生きる”という部分について泣いていたようだ。

もう中年といわれてもおかしくない年齢なので『何のために生きるか』などというテーマからは逃げるようになったが、そんな問いは青臭いどころか実体すらないんだろうと思わせてくれる映画だった。

登場するレスラーたちは、ただ生きている姿を晒す。
主人公と老いた母との微妙な関係性などをみても、そこには作り付けたテーマなどない、自分と同年代の男の生活そのものだ。生活の世知辛さも、ささやかな幸福も、情けない言い訳も、何にも自分と変わらない。
ちょっと違うのは、障害者だからかレスラーだからか、あるいはその両方だからか、彼らは“生きる”をフィルムと、そしてリングの上にノーガードで晒す。それが見る者に自分の“生きる”を強烈に意識させる。

気の毒な人を見世物するなと怒る人がいる。本人が望んでいないならその通りだが、本人が望んでそこで生きている場合はもっとよく考えたい。そのためにまず問いたい、あなたはDOGLEGSをみましたか?と。

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mopho
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