劇場公開日 2017年1月28日

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タンジェリンのレビュー・感想・評価

全22件中、1~20件目を表示

4.0リアルな人間を見つめる視線の優しさ

2018年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

知的

アメリカのインデペンデント映画シーンの新しいスター監督と言っていいだろう。ショーン・ベイカー監督の人間を見つめる視線は、人間の残酷さもみっともなさも余すとこなくさらけ出すが、同時に優しさもきちんと見逃さない。

iPhoneという最小単位のカメラを駆使して撮られた本作のメインキャラクターたちは、プロフェッショナルは俳優ではないが、彼女たちのリアリティある佇まいを引き出すのに、見慣れたスマホは大きな効果を発揮しただろう。

監督はLAに越してきて、ハリウッドの描く華やかさと現実とのギャップに驚いたという。なぜお膝元の彼女たちのような存在を無視しているのかというのが製作の動機でもあったようだが、まさにインデペンデント作家らしいスタンスだ。ベイカー監督の持ち味はその色調のセンスも素晴らしいが、それ以上に人間のリアルを見つめる、厳しさも優しさも全てを逃さない視線だ。

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杉本穂高

1.5混沌とした物語世界そのものの描写に軸足を置いている

2025年5月24日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

斬新

面白いと言えば面白いのだけれど、色々とごちゃごちゃしている映画でした。
「アノーラ」のショーン・ベイカー監督作品。

お話しのテイストは「アノーラ」に似ているのだけれど、映画としての分かりやすいメッセージ性よりも、混沌とした物語世界そのものの描写に軸足を置いていた感じがしました。

iPhoneでの撮影は、近接広角でとても迫力があって、予想外に良い映像でした。
音もほとんど、iPhoneでの撮影時の録音をそのまま使っているそうです。

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ねこたま

4.0どうしようもない多様性

2025年3月23日
iPhoneアプリから投稿

ハリウッドやシリコンバレーといった華々しいイメージによって過度に虚構化されたロサンゼルスという空間を、今一度再構築する。それゆえ本作ではiPhoneというチープな撮影機材が動員される。遠近を失った映像の中に浮かび上がるロサンゼルスの街並みは、ハーモニー・コリン『ガンモ』に映し出された田舎町のごとく鬱屈としていて行き場がない。

欠けたアスファルトの舗道を右往左往する人々の中に煌めくハリウッドスターやギラついたテクノリバタリアンの姿はない。代わりに、身なりの汚い中年男性や化粧の濃いトランスジェンダーや出自不明のマイノリティ民族らが我が物顔で街を闊歩する。

混沌は映像のみならず音声の領域にまで波及している。主人公たちが場所移動するたびに流れ出す場違いなEDMやヒップホップが爆音もまた、ロサンゼルスという空間のどうしようもない多様性を高らかに謳い上げる。ここでいう多様性とは、理知的な社会運動の成果ではなく、諦めと無秩序の結果に他ならない。

アナーキーな愚か者たちは街のほうぼうで各々の痴態を演じながら、最終的にドーナツ屋という特異点に結集する。ドーナツ屋というのがまたいい。◯◯屋の中で最もバカそうだから。

愚か者たちのカーニバルはドーナツ屋の店内において最高潮を迎え、そして爆散する。ここで終幕すれば単なる露悪趣味の映画だが、本作は最後に微かな再生を予示する。黒人のトランスジェンダー女性にとって最も重要といえるカツラを小便で汚されてしまった親友のために自分のカツラを差し出す、というのが本作のラストショットになる。

コインランドリー、性的マイノリティ、仲直りというエレメントから我々は『マイ・ビューティフル・ランドレット』を否応なく想起するだろう。無数の洗濯機は彼ら/彼女らの間に蓄積した疑念や憎悪を洗い流すものであると同時に、同じところをグルグルと回り続け永遠にどこへも辿り着けないことのメタファーとして機能する。

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因果

4.0何よりも感銘を受けたのは

2025年3月15日
iPhoneアプリから投稿

ショーン・ベイカーの視点の優しさと美しさ。最初は映像も登場人物もセリフも共感できなかったのが、どんどん引き込まれて魅力的になっていくところ。

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BEERBEAR

4.5少し粗いタッチと、クライマックスに向けて収斂していく物語、の組み合わせが無二の魅力を放っている一作

2025年3月15日
PCから投稿

第97回アカデミー賞で作品賞、監督賞など6部門を受賞した『ANORA アノーラ』のショーン・ベイカー監督が2015年に発表したこの作品。全編iPhoneで撮影した映画としても話題となり、映画の新時代到来を強く印象付けました。

iPhone独自の色味に加えて、監督の色彩感覚を強く反映した、黄色の印象が強い映像は、ロサンゼルスの、荒廃が目立つ一角の雰囲気を生々しく伝えています。加えて手持ち撮影を多用した、やや粗いカメラワークによって、ドキュメンタリー作品を見ているような雰囲気が強まっています。

このあたりにもインディペンデント映画作家としてのベイカー監督の特色がよく現れていました。制作体制もインディペンデント性が強く、ベイカー監督は監督だけでなく、撮影も編集もこなしています。

監督自らが携えたカメラがとらえる人間模様は、主人公である二人(キタナ・キキ・ロドリゲスとマイヤ・テイラー)をはじめとして癖のある人ぞろいのため、別々に展開する物語がどう収斂していくのか、目の離せない緊張感があります。

しかも彼らの、人間としてあまり褒められたもんじゃないところまでも率直に描写していることがむしろ、視点としての公平性を強く感じさせます。どんな立場の人でも本作を鑑賞して、様々な観点から評価できる余地を与えているあたり、一見観る人を選ぶ作品のようで、実はものすごく受け口の広い映画と言えます。

そして実際のクライマックスの、「こう来る……?」「まさかこの場面で……?」という落差は最高。

『ANORA アノーラ』から見て約10年前の作品であるにも関わらず、小咄と言っても良いような一つ一つのエピソードの語り方、そしてそれらを束ねていく過程のドライブ感など、すでにストーリーテラーとしてのベイカー監督の手腕は見事としか言いようのない領域に達していました!

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yui

3.5FUC◯IN Calm Down!

2024年6月8日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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マサシ

3.5タイトルなし

2023年12月5日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

iPhone撮りが効いている。人にperfection などなく、みんな凸凹寄り集まって生きている。

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ouosou

3.5【”ムショから出たばかりのトランスジェンダーが、恋人が浮気していた事を知って、大激怒!”下ネタ満載の狂乱のクリスマス・イブをコミカルに描く作品。ラスト、親友と和解するシーンは少し沁みます。】

2023年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

興奮

幸せ

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NOBU

5.0クセあり、ファン限定

2023年6月14日
PCから投稿

レビューが少なくて評価が高いのはマニアックの証です。
いかにも自主制作な作品です。フロリダプロジェクトやレッドロケットでこの監督にはまった人にはどうにもたまらないでしょうが、パンピーにはまず受けません。

アメリカの低所得層の「無軌道でも、実はこれが現実」という生態を突き放すでもなく、見守るでもなく、適当にからかうような視点を保ちながら映像的にはシーンを高速に展開するのがこの人の特徴でしょう。

このタッチが気に入るかどうか?ぞっこん気に入るか、全くつまらないか、二択です。

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越後屋

4.5iPhone5sに乾杯🍾

2023年1月2日
iPhoneアプリから投稿

すっごい良い映画。
撮影機材がiPhone5sというのが、映画の軽快さにつながっている。
個人的に使っているiPhone5sが先日画面も割れ、動作もそろそろ限界だ。
でも8年くらい保ったのではないか。充分だ。
こんな映画も撮れてしまったiPhone5sに乾杯。

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iwamoog

4.0文化を作るのは

2021年7月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

故郷で生きづらかった人達が都市に集まり、多様な価値観が生まれる。初めはマイノリティと呼ばれていたけれど、マイノリティが多様性になった。本作を鑑賞していると、昨今の急激な価値観の変化もLAに居れば、当たり前なのかもしれないですね。日本人はこういうところ、アンテナを張らないと鈍くなるよなあ。

私はこの作品の質感と視点が好きです。彼女達のアングラな生き方を否定も肯定もせず、iPhoneで撮影して発表している。アメリカはなんやかんやクリエイターには、開かれた国なんですね。だから、新たな価値観や文化、テクノロジーが生まれるのですね。格差は激しいですが。

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ミカ

3.5人間味溢れるクリスマス

2019年11月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

個人評価:3.7
人間味にあふれ、とても個性的なキャラクター。人間を描く事がとても上手い監督ならではのストーリー構成。とりとめの無い物語が、こんなにも見応えある作品になっている。
全編スマフォ撮影との事だが、とくにスマフォらしさは感じられず、宣伝の一種なのだろうか。
マイノリティの人達が複雑に絡み合い、そしてお互いを補っていく。クリスマスなのに、誰もハッピーになってないのが物哀しい。
人間を描く事がホントに上手い監督。

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カメ

0.5この日常は別に見たくない

2018年6月10日
iPhoneアプリから投稿

劇場で観た「フロリダプロジェクト」がとてもよかったので、その余韻で同監督作品を鑑賞。映像にも言動にも美しさは皆無。これもまた、確実に存在するリアリティなんだろうけど、知らなくてもいいかな。

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Ordinary Guy

3.5低予算でも面白い映画は作れる

2017年10月10日
iPhoneアプリから投稿

笑える

楽しい

黒人のゲイの売春婦達と移民のタクシードライバーのドタバタな半日。
登場人物の中でほぼ唯一の白人売春婦を、パンプスカチカチ言わせながら町中引きずり回す様子が可笑しい。
クラブで歌う歌手志望の主人公が、実はお金を払って歌わせてもらってることを話すくだりも笑える。
かなりの低予算映画だけど、スピード感があって面白かった。

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ミーノ

3.5な?な?何だこのワチャワチャ感は^^; 大体、クリスマスなのに浮気...

2017年7月13日
iPhoneアプリから投稿

な?な?何だこのワチャワチャ感は^^;

大体、クリスマスなのに浮気女ボコッて裸足で拉致り、女?3人で街を徘徊しちゃあ…。

ダメ!ダメ!

大体、クリスマスなのに家族を放ったらかして、女?を買いに行っちゃあ…。

ダメ!ダメ!

大体、クリスマスなのに皆んなでドーナツ屋さんのママさんを困らせては…。

ダメ!ダメ!

そして映画はラストへ…。

何なん?この愛おしさは(u_u)

(2017年2月2日 シアター・イメージフォーラム/シアター2)

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松井の天井直撃ホームラン

4.0キュンキュンした。(*´꒳`*)。

2017年3月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

時間が余ったから、なんとなく選んだ映画だったけれど、あらすじを全く知らずに観たけれど、観てよかったー、と、思える映画でした。どんなオチになるんだろうと、不安な思いで観ていたものの、腹落ちする内容で、スッキリ。そして(*´꒳`*)幸。こんな性癖もあるんだと、人間の性癖の幅広さ、知らない世界を知ることもでき、面白かった。そして、彼女たちの、歩き方、仕草がたまらなく可愛らしくて、キュンキュンしました。映画観たあと、アイフォンで撮影したと知り、驚愕。あらためて、もっかい観たい!とおもったら、最終日でした。ホントに観ることができてよかった。

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まあ

4.0LGBT映画はどうしても星を多くしたい

2017年2月18日
Androidアプリから投稿

スマホ撮影ではありつつもそれを映像的にことさら強調せず、専ら役者たちの演技を引き出すことに注力されている。ガラッガラな道路、陽射しのギラつく街並み。ドーナツ屋での修羅場(Drama!)と映画の終わりでアレクサンドラがシンディの為にとった行いの美しさ。

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花火

3.0面白かった

2017年2月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

登場人物がリアル
ラストはほっこり

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Rubysparks

2.5ショーンベイカー

2017年2月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ロサンゼルス、モータリゼーションの街。通り沿いには車で入れるドーナツ屋だとか、洗車屋だとか、コインランドリーだとか、ビッチだとかピンプだとか。
そんな街を颯爽とあるくシンディレラとアレクサンドラ、嫌な目にあっても、持ち前の負けん気と明るさと豊かな経験値でやり過ごす。悪びれずに、後ろめたさもなしに、明るくトイレで一服キメてまた歩きで街に出て行く。そんな彼女達の横を、高級車とバスとゲロまみれのタクシーが通り過ぎていく。車を持たない彼女達は今日も街に立ち尽くして、置き去りにされている。家族なんて何処にいる?友達なんて何処にいる?オバマ政権下にiphoneにアナモレンズくっ付けて有色のトランスジェンダーと移民を、なんてのヤボな話はナシ。なんだかサウダージとか、国道20号線を思い出した。ゴリゴリな音楽が館内に流れてて、イメージフォーラムってこういう趣味なのかしらとか思ってたら、どうやらサントラらしい。売ってたのかしら、かなり良い音

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pigeyes

3.5写真が焼けたような映像

2017年1月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

iPhoneで撮った宣伝文句が、ソレじゃ大掛かりな撮影の映画って!?

iPhoneでの撮影によって登場人物の躍動感がリアルに映像に溢れていて色もカラフルで全体的にオレンジで茶色っぽい焼けた写真みたいな雰囲気が綺麗。

主人公二人のキャラと人間味に愛着が湧いてくるし狭い範囲での出来事の割にL.Aの街並みが魅力的に描写されている。

人生の過酷さや厳しさ滑稽さ面白さなど生きて行く人間の強さに寂しさとPOPに描かれた群像劇。

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万年 東一
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