劇場公開日 2017年1月28日

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「リアルな人間を見つめる視線の優しさ」タンジェリン ローチさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0リアルな人間を見つめる視線の優しさ

2018年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

知的

アメリカのインデペンデント映画シーンの新しいスター監督と言っていいだろう。ショーン・ベイカー監督の人間を見つめる視線は、人間の残酷さもみっともなさも余すとこなくさらけ出すが、同時に優しさもきちんと見逃さない。

iPhoneという最小単位のカメラを駆使して撮られた本作のメインキャラクターたちは、プロフェッショナルは俳優ではないが、彼女たちのリアリティある佇まいを引き出すのに、見慣れたスマホは大きな効果を発揮しただろう。

監督はLAに越してきて、ハリウッドの描く華やかさと現実とのギャップに驚いたという。なぜお膝元の彼女たちのような存在を無視しているのかというのが製作の動機でもあったようだが、まさにインデペンデント作家らしいスタンスだ。ベイカー監督の持ち味はその色調のセンスも素晴らしいが、それ以上に人間のリアルを見つめる、厳しさも優しさも全てを逃さない視線だ。

杉本穂高