劇場公開日 2017年3月18日

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「幸福な大人たちの 「あるある」」3月のライオン 前編 Lynkeusさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0幸福な大人たちの 「あるある」

2017年5月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

私が社会人になった時、教師を長年務めてきた母がひとこと:
「男の子はいじめちゃダメだよ、すぐに偉くなるからね」
この映画を見て、母が最高に幸福な教育者人生を送った人だったことがわかった。・・・つまり、この映画は、誰かの才能を引き出すことに成功した大人たちの、幸せな「あるある集」でもある。

生徒が自分より稼いでいることを羨ましがって見せながら、実は嬉しい高校教師。彼は、肝心要なところで適切なアドバイスができて、ますます嬉しい。
養父は、才能ある少年を拾って自分以上の棋士に育て、負けて嬉しい。自分の子に負けるよりホントは嬉しいはず。だって、単なる「DNAの勝利」じゃなくて自分の指導力の勝利だもの!
何かと心にかけていた子が勝って、思わずハイタッチしてしまう会長さん。・・・あるある。
一番幸せなのは、島田八段(佐々木蔵之介)かもしれません。不幸な生い立ちの男の子は前髪が長く、目を隠して、こっちを見てくれない。でも、大人が良い教育や良い仕事をしていると、そのうち、「やっとこっちを見たな!」と思う瞬間があって、嬉しい。才能ある男の子に「この人すごい!」と思ってもらえたら、最高です。
特に、こっちが死ぬほど頑張った直後に男の子が部屋に飛び込んできて「研究会に入れてくださいっ!」なんて、生きててよかったと思う。
・・・自分の生涯(まだ沢山残っているけど)の幸せな「あるある」を想い出しつつ、楽しく鑑賞し、幸せすぎて数日後にまた見てしまいました。

Lynkeus