「自分がバカなんじゃないかと不安になる映画」デスノート Light up the NEW world ch229さんの映画レビュー(感想・評価)
自分がバカなんじゃないかと不安になる映画
観てきましたよ!デスノート新作映画!
あの世界観を引き継いで、その後のデスノートを取り巻く新たなシナリオ!
天才同士の頭脳戦、駆け引きに手に汗握り楽しませてもらったわたくしとしましては期待絶頂!鼻血出そう!
しかも今回はデスノートが6冊もあるっていうじゃないですか!争奪戦!ミサも出てくる!
そんなの絶対おもしろいに決まってるじゃないですか!公開まだなの?はよ!はよ!あ、今日だわよし観に行くぞー!うわークソ映画だったクソすぎるおまえどんな風に作ったらそんなクソ映画にできるんだよ!逆にそのコツを教えて欲しいわ!
ということでどのようにクソな映画なのか、たっぷりと解説していきたいと思うわたくしなのであります!
序盤はなかなかおもしろいです。もしもアホがデスノートを持ったら?シリーズ!
あーアホやこいつ絶対アホや!でも怖いわぁ最初にデスノート拾ったのが月でよかったわー。まあ案の定噛ませ犬として早々にご臨終されます。
そして登場、雰囲気だけデキる男っぽく装うチンピラ、竜崎。Lの後継者らしいのですが、まあ後継者だから有能とは限らないですね、仕方ない。
こういうサラリーマンいますね、すごい自信のオーラに溢れていてその雰囲気だけで仕事乗り切っちゃうタイプ。新規開拓営業には向いていると思います。
全体的にはテンポもよく、場面ごとの雰囲気の出し方やカメラワークやアクションも見応えがあって面白い映画っぽい雰囲気はめっちゃするんですよね。
まさにその、雰囲気だけで勝負!というこの映画の全体感を象徴するキャラ、それが竜崎です。
まあデスノートの最大の魅力たる頭脳戦がまったくないのは、今回はLや月のような天才が不在、凡人たちによるドタバタ劇ということで個人的には納得できます。
リアリティを考えれば、そんな天才がゴロゴロいるほうがおかしいともいえますしね。
しかし展開が変わるたびに、なぜそうなった?なぜそういう行動に出た?というのが理解できない点が多すぎるのです。
劇中にひとつやふたつ、そういうところがあれば「あれはこういうことなんだよきっと!」という解釈論で盛り上がることもできるのですが、いかんせん肝心なターニングポイントがすべからく意味不明のまま流れが変わっていきます。
三島がなぜ自らキラになろうとしたのか、説明はあったと思うのですがうまく納得できません。
紫苑もキラに助けられた過去があるから云々、でも違ったから殺してやる!って、え・・・なんで?
そもそもミサを連れて行くってどんな事情があってのことだっけ?あれ?
竜崎って結局、誰にどんな理由でデスノートに名前書かれてたんだっけ?なんか説明あった?
キラの活躍をたいそう気に入った死神の偉いひとが、キラの後継者を探しだしたら自分の跡継ぎさせたる!ということで死神たちはっちゃきになってデスノートをばら撒くんだけど、いやまてよそれならリュークが跡継ぎ決定だろ!リュークがトップに成り上がってお前らも同じことやってこいならわかるけどさ。
成功パターンを真似て同じこと出来たら跡継ぎってなんだそれ?
最初に成し遂げた奴の功績計り知れないだろ、二番煎じを出世させるって意味わからん。アップルよりサムスンのほうが偉いのか?
リュークまた現場の前線に立っちゃってるじゃねえかよ。リュークおまえそれでいいわけ?
それともヒット作の続編作ってそこそこに売れたら俺のほうが偉いんだぜっていう監督の主張なわけ?
あるいはわたくしがバカだから理解できなかったのかもしれない?という可能性も否めないので、とてもとても不安な気持ちにさせてくれます。
ただ、おいらバカじゃないもん!という意地で言わせて頂ければ、説明があったとしてもうまく納得しきれないというのは、そもそも筋書きありきでご都合主義な行動を強いられたことが原因で、納得できないまま置いてけぼりにされてるということなんじゃないかと思います。
もうひとつ弁解させていただくと、最近話題になったシンゴジラについては、「セリフが早口すぎて一度観ただけでは理解しきれない」という人が多かったようですが、わたくしは一度めからちゃんと大筋は自然に理解でき、とても楽しむことができました。
今回のデスノートは、ひとことで言うなら観客を裸の王様に見立てた子供だましのようなものでしょうか?
人気作の続編ですし面白い映画っぽい雰囲気に流されて、なんとなく満足感を得られて面白かったという人も一定数いると思われますが、お前は本当に納得できたのか、本当に面白いと思えたのかと小一時間ほど問い詰めたい。
そんな映画でした。