「ただただ一言、『凄い』。」レヴェナント 蘇えりし者 アルさんの映画レビュー(感想・評価)
ただただ一言、『凄い』。
家族への愛、復讐心、そして人間とは。大自然の中に放り出された人間の無力さ。醜く争い、差別し、殺し合い、奪い合う。
熊(グリズリー)との闘いはあくまでも序章。縄張りや家族を守る為に敵を殺す動物、私利私欲の為だけで見境無く殺す人間。大自然の中でどちらが本当の鬼畜なのか。
度々挟まれる壮大で厳しい自然の景色に、人間とは何かを考えさせられる。自然の明かりのみでの撮影により、幻想的で何処か穏やかに没入感を体感出来る。
本物の動物を使い、リアルな食事シーン、"死"という現実を身近に感じさせる演出。『重い』『暗い』『グロい』という言葉が、正にピッタリの映画だと思う。だが、これはこの"作品"への『褒め言葉』。
綺麗に終わらせられる訳が無いなんて、脚本の段階で監督も俳優も分かっている。だからこそ、ディカプリオも全身全霊で、グラス役にぶつかり、賞を獲ったと思う。
本作は観客を楽しませる方向性が全く違う。
名作【ジョーカー】と同じカテゴリーで、この映画は万人受けの娯楽作品ではなく、圧倒的で有無を言わさず考えさせられる作品。
実在した罠猟師ヒュー・グラスを元に、その1人の人間の生き様を本気で演じる、レオナルド・ディカプリオという俳優。2時間半、覚悟してじっくり味わって欲しい。
コメントする