劇場公開日 2016年4月22日

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「神々の住む世界」レヴェナント 蘇えりし者 chaiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5神々の住む世界

2016年5月2日
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鑑賞方法:映画館

本年度のアカデミー監督賞、撮影賞、主演男優賞を獲得した作品だ。
本作でやっとレオナルド・ディカプリオがアカデミー賞を獲得した事でも有名だ。
映画が始まり直ぐにその映像の圧倒的な美しさに魅了された。
まるでタルコフスキーの映画を見ているかのようだ。
そこに人が存在する以前から大気が満ち、水がながれそこには善も悪も存在しない。
ただあるがまま、存在している。
映像からはそれが伝わってくる。
神とは、神は人が想像したものなのだろうか。
人の生き死にだけでなく、あらゆる命の生命の制裁与奪さえも冷徹に見つめる存在があるように感じる。
怒り、悲しみ、妬み、人が抱える永遠の業と言うものが感じられる。
ディカプリオとトムハーディーが演じる二人はともすれば対極にあるように思えるがそれは誰しもが持ってる人間の本質を表している。
本作は言葉をギリギリまで排除している。上映時間156分と長いのだがほとんどセリフがない。
言葉は記号にしか過ぎないのだ。
その記号さえいらないのではないか。
そんな監督の意図さえ感じる。
坂本龍一の音楽も秀逸だ。
この映画の世界観を見事に表現している。
今回の撮影では自然光のみでの撮影法をしている。
この映像の美しさは今までの映画とは一線を画している様に思える。
時間を置いてまた鑑賞したくなる作品だった。

chai