「凄い!!!」レヴェナント 蘇えりし者 ヨッシーさんの映画レビュー(感想・評価)
凄い!!!
とにかく無茶苦茶な映画。主演はディカプリオということだけど、ほぼ彼のセリフなんてない。
カメラワークは「トゥモロー・ワールド」の19世紀アメリカ版ともいえる臨場感あふれるハンディカムでスタートする。矢は背後から横から頭上からも、目の前の人物がいとも簡単に死体となっていく。凄まじいバイオレンス。このあたり、「プライベートライアン」の冒頭のシーンが好きならば気にいると思う。ちなみに具体的な説明はないが、バッファローを捉えて革をはぎ、それを加工している現場のようで、そこにインディアン達が現れて瞬く間に死体の山。どうやらインディアン達は族長の娘が白人にさらわれたと言うことで、探し回っているらしい。
最初のインディアンとの戦いを生き延びた10人程度は主人公のガイドさんに従って山を越えようと船を捨てて山中へ。そして暫くしたら何故か野営から外れてひとりでふらふらとしている主人公のすがた。嫌な予感は的中し熊に襲われ、瀕死となる。隊長は彼が死ぬのを見届けなさいと仲間3人に主人公を託していなくなる。隊長不在をいいことにトムハーディは本人に了解を得てレオ様を殺そうとすると、その姿をレオの息子が発見し…
物語はザックリ言うと、息子を殺した仇をとってやる!と復讐の為にサバイバルで生還し、間接的に復讐を遂げるという話。
ただ、リアリズムなのか話を単純化しないようにするためなのかはわかりませんが、トムハーディを悪にしようとしている割に彼側の事情も描いてしまっているため、最後に爽快感がない。彼自身インディアンに頭の皮を剥がれたと言う暴力の被害者である。主人公はそもそも何故ひとりで熊のいる森の中に入ってしまったのか。フランス人たちはどうなったのか?様々な不思議が残る。これらを余韻として楽しむかどうかは人によるかもしれない。ただ、この映画を単なるエンタメとして見に来るような人は少ないと思うが、、、。
ラストに関してはご都合主義にも感じたが因果が巡り巡って救いをもたらすというのは「アモーレスぺロス」「バベル」「21g」を思い起こす部分もあるが、人生ってそういう事あるよね?という監督の人生観なのかも知れませんね。
とにかく圧倒的な臨場感、ノンストップで繰り広げられる血みどろのサバイバル、そして後半は復讐の物語。
最後に妻の幻影がいなくなって、それを見つめる主人公のカメラ目線で終わるが、なんだかよくわからなかった。
もう少し考えてみたい。