コールド・バレット 凍てついた七月のレビュー・感想・評価
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サスペンススリラーではないよ。注意
始まりは殺してしまった強盗の父親の復讐に怯えるスリラーだった。それが思わぬ展開を見せながら徐々にサスペンスに変化していくのね。
そして終盤では、物語の始まりからは想像できないほどの、西部劇やフィルムノワールを思わせるようなハードボイルドに姿を変える。
多くのレビュアーさんたちが書いているように、本当に驚くほど始まりと着地が違う作品になっているのね。
中盤で急展開を見せ始めたときに、なんだこれは、この先どうなってしまうの?と動揺するほどだったね。
本当に物語が確定した頃には、すっかり姿をノワール風に変えて、ああ、こっち系の作品だったんだとやっと気付いた。
それで、サスペンススリラーが好きなので観たわけだけど、予想外の展開に驚きはしたが、ノワール作品もそこそこいける私は、贅沢な和洋折衷のフルコースみたいに楽しむ事ができたね。ここでの評価がイマイチなのにビックリするほどの掘り出し物だと思うな。まあ、ツッコミどころは多いし、本当の姿はサスペンスでもスリラーでもないしで、イマイチだった人の気持ちも理解できるけどね。
死んだ強盗の父親ベンを演じたサム・シェパードが深みのある哀愁をたたえた渋い演技で、序盤から終盤までこの人に釘付けだったよね。
最初と終わりで釘付けの理由が全く違うのが結果として良いんだよね。終始、単なる小悪党のじいさんに変わりはないんだけど、ちょっとした出来事がきっかけで彼の中で何かが変わったんだな。それが終盤のノワールに活きてくるんだ。
期待や予想を大きく外してしまっていても、心を広く持てば楽しめること間違いないと思うな。柔軟な受け入れ姿勢が大事だよ。
"額縁屋"
額縁職人で家族に内緒なハードボイルド活動は、ヴェンダースの「アメリカの友人」に習ったか?
それとも、パトリシア・ハイスミス??
ガラッと変わる物語、後半からの展開を考えると前半部分のサスペンス・スリラー要素は邪魔に思える。
陽気な雰囲気を醸し出す"マルボロマン"の登場から話も失速気味に、地味な主演俳優はサム・シェパードに乗っ取られて存在が霞んでしまう。
お決まりの銃撃戦、大掛かりに要塞を舞台にビデオショップの時点でケリは付けられた筈。
主人公が参入する意味がわからないし、警察の存在も有耶無耶に!?
悪くもなく良くもなく
何の前情報もなしに見始めたので、けっこう予想外というか
ストーリーが進行するにつれて、話の主旨が変わっていくのがちょっと面白かった。
逆に言うとそれぞれのパートが希薄というか、最終的に薄味というか。
構成に工夫を凝らした小品って感じだろうか。
なんだろう。感想としては悪くもなく、良くもなく。
このまま裁判になって罪悪感と闘う静かな物語を想像していたのに
強盗犯の葬儀に参列しようとしていたのが間違いのもとだった。フレディの父親ベン(シェパード)が近寄ってきて、それとなく脅すのだった。やがて恐怖におびえる家族。ベンはリチャードの家に忍び込み、弾丸を幼き息子のベッドにばらまいて行った。そして、家の天井裏にだろうか、ずっと隠れていて警察沙汰になる始末。しかし、事態は一転。再度、警察への取り調べにて、自分が撃ち殺したのはフレディではないと疑念を持ち始めたリチャード(ホール)。
そして、ベンが警官によって拉致され、注射を打たれ線路の上に放置されたのを目撃したリチャード。疑念は確信に変わりつつあったが、わけがわからなくなったリチャードは自分たちを脅かしたベンを助け、山小屋で匿うのだ。そんな折、ヒューストンから私立探偵ジム・ボブ(ドン・ジョンソン)がリチャードの経営する額縁店に訪れてきた。典型的なカウボーイスタイルの怪しげなボブはフレディは生きていて、FBIの証人保護プログラムの対象となってることまで掴んでいた。息子に会いたい一心のベンだったが、捜査してみた結果、マフィアから逃れて別名にはなっているものの残酷なスナッフムービーの売人兼俳優だったことが発覚し、ついには息子を自分の手で殺す!と決意。
クライマックスではチンピラ仲間のアジトへと潜入して銃撃戦となってしまうが、思いもよらず二人も殺してしまったリチャード。中年3人組はかっこいい気もするが、こと殺人ということに関しては軽すぎる結末。なんだか私設警察みたいな感じで後味はよくないが、予想外の展開と重厚な雰囲気は大好きだ。
米ドラ"デクスター"のマイケル・C・ホール様主演♡ 不法侵入者を正...
米ドラ"デクスター"のマイケル・C・ホール様主演♡
不法侵入者を正当防衛で射殺してしまったことから起こるサスペンス。ドン・ジョンソン様も出てます。
さすがにTVドラマ風で、さらっと観られますが、演技派だけになかなか魅せられます。
2014.10.12
見る価値あると思います
良いシナリオ、印象に残るカットのある希少な映画。感情の振れ幅も大きく、その行動を取るに至る心理描写がしっかりと描けています。(都合主義でこれを外してる映画あまりにも多い)
とくに序盤から中盤に掛けての展開はすばらしいものがあり、ごくまれにしか巡り会えない「当たり」感が漂いました。「息子を殺す」と決めた朝、瓶に向かって銃を撃つシーンなんて、かなりいい画です。
ただ、終盤ガンアクションぽい要素が濃かったこと(ちょっとした作品性の逸脱)、最終的に未消化なままの部分が多かったことがマイナスな印象。と、シビアに見てもプラス評価でしょう。
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