世紀の光のレビュー・感想・評価
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人間の行動と記憶
人智を超える世界の理のようなものがあるとして、それは人間には知覚できないのだろうけど、この映画にはその理の一端に触れているような気がする。緑に囲まれた病院で医者や患者たちの日常が描写される前半、それとほとんど同じ様な描写を今度は近代的な街の病院で展開する。なぜ、2つの病院で同じような光景が繰り返されているのかは描かれない。それはなぜか反復される。銅像や排気ダクトに吸い込まれる光景は、なぜかわからないが異様な強度に満ちている。前半の舞台となる病院を囲む緑は、アピチャッポンの映画ではお馴染みの森を想起させる。あの病院はなんだろう。後半の近代的な病院では、病院の一区画を取り壊しているのはなぜなのか。その区画を隔てるドアに向けてボールをぶつけ続ける患者はなんなのか、そうした不可思議なイメージについて考えているうちに、映画はエンディングを迎える。エンディングのあの踊りもまた不可解だ。
人間の行動は、ときに説明のつかないものがある。そんな説明のつかない何かに対して、この映画は触れている。確かに人間はこうだ、という何かに触れている。そんな気にさせられる。
湧き上がる想いを取り戻すには
記憶の物語・・らしい
初めてタイ製作の映画を観た。
監督はアピチャッポン・ウィーラセタクン。当然初鑑賞。
田舎と都会で似たような2つの物語が繰り返される。
カラフルな田舎とモノトーンの都会。2つは重なっているようで微妙に異なる。
登場人物も最初は女医が主人公かと思ったけど、どうもそうではない。
主人公がいないので、物語らしい物語があるとは言えない。
何とも不思議な「夢」みたいな映画。
タイは仏教国。なので、作中でも「前世」という言葉が当たり前に出てくる。
おそらくタイでは日常的なことなのだろう。
そう考えると、前半と後半はどちらかが前世の話なのかもしれない。どちらが先か前後関係はわからないが。
前半が前世だったとして、後半のテニスやってた男は、ひょっとしたら前半の歯医者の弟なのかも・・前世は男だって言ってたし。考えすぎかな。。
しかし、映画の中での「間」の取り方が何とも独特。
日本やアメリカ・ヨーロッパなど、他の国の映画にはない尺。これがタイで流れる自然な時間なのかも。
物語がないわりに不思議と観賞後まで余韻が残る。
そして、それが心地良い。面白いな。
この監督さんの他の作品も観てみよう。
終わり方が気持ちいい
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