「地味ながらも良作」シークレット・ロード kakerikoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0地味ながらも良作

2015年11月26日
iPhoneアプリから投稿

ロビン・ウィリアムズさん主演となる遺作品ということで、ストーリーとは別な想いも馳せながらの鑑賞。

物語の主人公は借りの姿で長いこと生きてきた。妻も同僚も知らない内なる魂の姿…
でも、ある時ある人との出会い(巡り合わせ)がきっかけとなり、彼は抑制していた自我を内に収めきれなくなってしまう。次第に周囲にも取り繕えなくなり追い込まれていく。元の鞘に収めることも出来たであろうが彼は心がそれを望んでいないことに気付いてしまった。作り物の笑顔の仮面はもうかぶりたくないんだと。

"結果として社会という枠組みの中ではだいぶ外れたかもしれない。
が、これからはありのままの自分で新しい道を選び歩いていける。ハンドルは何度でも切り替えせばいいのだ。なんと清々しい風が抜けたことだろう。"

そう主人公の声が聞こえてきそうです。
全編通して度々出てくるマイカーを運転するシーンが私には印象的でした。様々な表情を見せますが、やはり吹っ切れた後のあの顔がロビン・ウィリアムスの18番顔で(笑)今作でもありがとうと言いたくなりました。
そう、子どもみたいに飾らない笑顔。
彼のその笑顔を見ていると
これは演じて笑っているんじゃない
その人(役柄)の心の底からの涙や微笑み、言葉の一言一言が私達の心を揺り動かし、深い共鳴を呼ぶのだろうと感じましたし、その笑顔が輝くのは、対極の混沌とした感情が背中合わせにあるからなのだろうかとも…
闇があるからこそ、光が良く見えるのと一緒。。

最後に 主人公の奥さんの立場からすると、同性として心情が痛い程わかります(苦笑)なので、エールを贈りたい。彼女もまた、模索しながらも自分の生き方を見つけて欲しいなと。助手席も楽かもしれないけれど、ハンドルを握って思い描く道のりも悪くないよと。
幾分、自省の念もこめて (^^;;

sonje