クリーピー 偽りの隣人のレビュー・感想・評価
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ありえない、でも恐ろしい、いや面白い
いろいろと突っ込みたくなることや、都合良すぎるだろと言いたくなることも多々ありはしましたが、それでもついつい見入ってしまうような魅力溢れる作品に仕上がっていたと思いました。
まあこのキャストですからね、つまらなくなる訳もない、ちょっとマンネリなメンバーだなとは思いつつも、終わってみればやはりさすがだなと思わされた実力派達でした。
それより何より、黒沢清監督の演出力ですよ、近作はいまいち自分にはフィットしない作品も多かったのですが、今回は久々にフィット、最初からずっと居心地の悪さを感じつつ、ジワジワ押し寄せてくる違和感の連続には、ゾクゾクッとさせられましたよ。
ゾクゾクと言えば香川照之、単純に隣人の香川照之の奇行を見ているだけでも面白い、いや恐ろしい作品でしたよね。
ベタではありましたが、ナイスキャスティング、おかげで130分間飽きることなく楽しむことが出来ました。
隣人付き合いは我々の日常に直結する出来事、隣人付き合いしないとしても多少は気になったりする訳で、そう言った意味でもいろいろと考えさせられる作品でした、もし引越し先で隣人が香川照之だったらどうしましょ・・・。
また直接隣人として関わる竹内結子が演じた高倉の奥さんの行動にもイライラさせられるんですよね、行かなきゃいいのに、関わらなければいいのにって、でも、そうもいかないのが隣人心理なのでしょうか。
ただ、彼女の心理面の変化がちょっと最後まで分かり難かったのは難点でしたかね、全体的に変に説明しない作風だったのは私的には良かったと思いましたが、さすがにここはちょっと分かり難かった、でもいろいろと想像する楽しみもあった作品ではありましたけどね。
川口春奈が演じたキャラもそう、何の説明もなかったけど、もしかしてあの子もアレされたのかとか、後でいろいろ考えるとゾクッとします。
しかしあの注射は一体何だったのでしょうか、便利すぎて、都合良すぎてちょっと笑った。
東出や笹野の行動も・・・。
それにしても、西野の家が凄すぎた、笑っちゃうぐらい怖い家でしたね。
怖いと言えば娘役の藤野涼子の才能も末恐ろしい、どこまで進化していくのか楽しみですねぇ。
もう少し西島秀俊の犯罪心理学者的な部分も出ていれば尚良い作品だった気はしましたが、どっちもどっちに見えてくる面白さ、恐ろしさもあったりで、突っ込みどころも含めて面白い作品でした。
「桃太郎印のきびだんご」かよと
まずは、見た率直な感想が
「どうしてああいう行動を取るの」
「なぜこうしないの」
「けっきょくあの真相はどうなの」
の数々。
ここでも多く見られる意見と同じでした。
で、公開からある程度時間も経ち、いろんな意見が出ているので、高評価も参考に見てみたところ、
<あえて、因果や真相を明確に描かない事が不気味さにつながっている(要約)>
と。なるほど。
たしかに、
6年前の事件の真相について、もしかしたら早紀という女性が現在の澪と同じ立場にあったかも…と想像させつつ、真相は明かさない。
主人公・高倉と妻・康子が引っ越し前に何かしらあった雰囲気を匂わせつつ、具体的には描かない。
…といった部分などは、あえて描かない事で、何があったんだろうというモヤモヤが逆に効果的でもあるのかな、と。
ですが、
それにしては、あの「薬」の効果を“具体的に”描きすぎてしまってはいませんかね。
「打てば一発で気を失い、その後はまるで操り人形」
もうね、ドラえもんの道具ですよ。(ドラえもんファンの皆さんスイマセン)
「康子が、どうやって西野の手に堕ち、薬に手を出したか」は、見ていて普通に気になる点だと思うのですが、それをあえて明確に描かないのであれば、前述のとおりモヤモヤ感が効果的に活きてきたかもしれません。
ところが高倉が薬を打たれるシーンを見せてしまっては、せっかくの「あえて描かない」が台無し。打たれる=言いなり、の単純な構造。康子もそうであったのだと想像を働かせる余地が奪われてしまう。もはや不気味でも何でもない。
簡単に言うと、どちらにしてもあそこで一気にシラケる。
仮に、「あえて具体的な部分は描かない手法」という視点で見たとしても、あの超便利な謎の薬は、この映画を根底から台無しにしているのではないかと思います。
ストレスがたまる映画
黒沢清監督は大好きな監督で「CURE」や「回路」は本当に傑作で最高に好きな作品なのだが、ここ近年の大作バジェット的?な「リアル」や「クリーピー」は個人的には微妙な感想の作品である。
今日観てきた「クリーピー」は兎に角、登場人物が不用意な行動をとる「バカなの?」と思わせるような人ばかりで見ていてストレスが溜まることこの上なく、最後までイライラが止まらなかった。もちろんこれは人がジワジワと得体の知れない何か不穏なものに飲み込まれいく黒沢流演出の細かな積み重ねの結果なのだろうが、それを踏まえても少し解せない。ラストのあるシーンでは説明こそないが、「あー、あの時のアレは演技で騙してたのね」的な部分の気持ちよさもイマイチ、パンチが弱くそれまで溜まったイライラを帳消しにするまでには至らなかった。もう少し普通に考えて行動してくれる登場人物達が出てこなければクリーピーな登場人物達が自から状況を悪化させる方向に進んでいるだけで香川照之扮する異常者のキレモノ感も半減してしまいタダタダ「クリーピー」なヤツ感しか印象として与えていないのは勿体無い限りだと思った。ヘタに映像で説明をしない黒沢節演出はよかったのですが、もうひとつ何か観ている観客にこれじゃこうなっても仕方ないな的な部分の演出が欲しいところはありました。しかしあの家がエサのないゴキブリホイホイハウス的に見えて仕方なかったです。エサないのに入る?
サイコパス
「サイコパス」という言葉が世に出て久しく、もはやジャンルにまでなってしまった感もありますが、これまで観た「サイコパス」作品はしょせん作家の思い描いたサイコパスであり、本来の「サイコパス」ではなかったと痛感されました。
得体の知れないものを得体の知れないもののままで置いておける黒澤監督ならではの巧みな演出に感服です。
後半に進むにつれて段々とカメラ位置が降りてきますが、前半はやたらと見下ろすショットが多いのは、「サイコパス」に対して世界中の人間(サイコパスを含む)が「そういう人もいるよね」という傍観者を決め込んでいるからこそのカメラ位置だったのでしょう。
数時間後に思い返せば、「なんでそんな運びにくいボウルでシチュー持ってくの」「警部!そこ絶対落とし穴あるでしょ!」など、ライトタッチの映画なら確実に突っ込みを入れたくなるようなギャグショット満載なんですが、鑑賞中は「まあそういうこともあるかな」という不思議な魔術にとらわれてしまいました。
この作品はクエスチョンマークがほぼすべてのショットに生じます。主要な登場人物の全員が不可解な行動をしていて、だいたいの行動の動機が不明です。でもそれでいいのです。なぜなら我々の生きる現実世界がそうなのだから。
普段、電車で隣に座った乗客や会社の同僚、行きつけのカフェの店員、ひいては親しい友人や家族の行動の動機に対して、いかに自分が無関心であるか、いったいあの行動はどういう意味だったのかを果たして自分はどれほど考えているのか、実はほとんど考えてなく、環境が成す魔術に冒されて盲目的に「まあそういうこともあるかな」で済ませているのではないか、そして、他人の行動の動機を考えたところでそれは自分の都合のいい解釈に過ぎないのではないか。この映画の怖さの対象はけっしてサイコパスに対するものではなく、自分を取り巻くこの世界に向けられたものです。
ラストシーンは、生き残った3人の言動の不可解さが凝縮されていましたし、そもそも高倉が西野を撃ち殺すプロット自体に黒澤監督らしくない演出を感じ、それが奇妙なカタルシスを感じました。
サイコパスとは何か。
そもそも人類はなぜサイコパスという言葉を作ったのか。
名前をつけて分類することで、なんとなく危険な感じがする人、自分の周りにはいないと思うけど、世界のどこかにはいるらしい危ない人を自身の世界から切り離しつつ、自分の手の届くところに置いておいて、ただ安心したいだけではないか。
この作品は、言葉や絵、彫刻といった、個人の思考が介入したメディアによるものではなく、現象を現象として客観的に見据えることができるカメラが描いた映像作品です。
おそらく、サイコパスというものが本当に存在するとして、それを正しく捉えることができるのは、カメラしかありません。
黒澤映画に語り部は必要なし。
素晴らしい作品でした。
がっかり
小説を読んで原作を知っている人が鑑賞したら
当然がっかりな作品だったと思います。
やはり原作があってそれを映画化するとなると
どうしても切り取らなきゃいけないところが出てきてしまいますし、重要な部分部分を1つの作品にしなくてはいけないものだと思いますが、これは映画化にしなくても良かったんじゃないかと思いました。
小説には高倉のゼミの教え子の燐子と大和田が結構重要な役割として出てきてますが、映画にはちっとも出てこないですし、西野の家があんな暗い倉庫のようになっていると原作では話されてません。
小説の内容は置いて、別のものとして見た方がいいかもしれないと思いましたが、最後の終わり方が納得いきませんね。
楽しみにしていただけあって残念です。
なかなか。
なんか残念でした
タイトルなし(ネタバレ)
私も「あれっ」と思う場面がいくつもありました。
いまどき隣人にシチュー持っていくか。しかも変な隣人に。
しかも「残ったので。」とか。
普通「多く作りすぎちゃったので。」とか、理由なしで「どうぞ。」とかだと思う。
「残ったので」って残飯みたい。
あと、隣人を家に簡単に上がらせて食事をするか。前後の対応が180°変わったのに違和感を感じました。
刑事が一人で行動するか。
あんな暗くて危ない雰囲気満載のところに刑事も奥さんも一人で行くか。
でも、総合的には☆3つです。
それなりに迫力もあったし、俳優の演技もよかった。
藤野涼子さんもよかったよ。がんばれ。
タイトルなし(ネタバレ)
キャストに惹かれ観に行きました。
観ている間は、テンポの早い展開に飽きることなくハラハラしながら観られました。
ただ、観終わって一息ついた時に
「あれは結局なんだったんだろう…?」
と、スッキリしない描写が多々あったように思えます。
特に家の配置に関しては、高倉が西野に対して疑いを持つ重要なポイントなはずなのに最後まで説明は無し。残念すぎる。
気味の悪さと後味の悪さは最高です。
個人的に犬が出てきたのはショックでしたね。殺されなかったからよかったものの、もしマックスが殺されていたらトラウマ映画確定でした。
ラブストーリー
初盤の竹内結子、後ろ向きでセリフを発している場面がもの凄く多い。どんなつもりでどんな表情で言っているのか分からない。そこが気になって気になってしょうがない。
いや、当たり障りない日常会話なので分からなくて良いのかもしれない。西島氏演じる旦那さんも気にしていない。旦那さんは「事件」に夢中で奥さんのことなど眼中にない。(食卓で二人が向き合うシーンもあるが、視線があってないようにもみえる)。
旦那さんは誰のことも眼中にないのではないか。自己完結しており他人の話を聞いてるようで聞いていない。犯罪心理学者と言いつつも他人の心理に疎い。だから冒頭、殺人鬼の説得も失敗する。このオジさん何かの助けになりそうと近づいてくる若い女子二人(川口春奈・藤野涼子)も、オッサンが想像以上に使えない事を知り、川口春奈はイラだち拒絶、藤野涼子は最後、豪快に去って行く。
クリーピー=「変」なのは、お隣りさんだけではなく、旦那さんも充分「変」だ。そりゃ女子二人も逃げるわなと思う。
奥さんは、中盤お隣りさん側に囚われるが、夫というクリーピーから別なクリーピーに隷属が変わっただけという気がする。
奥さんは、クリーピー達から逃げたいんだね、と思いながらずっと観ていた。
だが、しかし、そうではなかった。
—
監禁されている奥さんが旦那さんにクラッカー(?)を食べさせるシーンがあった。
このシーンの竹内結子、ウットリとした表情を浮かべており、この上もなくキレイで、映画の中で一番印象に残った。
後ろ向きだった奥さんが、夫と向き合う。しかも上から見下ろすような形で、見つめ合う。夫は奥さんの視線から逃れる事は出来ない。
奥さんが望んでいたのは、コレだったんだね。クリーピーから逃れたいのではなく、クリーピー夫を手中に収めたかったんだねと。こりゃ、ある意味、ラブストーリーなんじゃないかと思った。
(それが端からみて歪んだラブストーリーだとしても本作はクリーピーな人しか出てこないのでしょうがない。)
—
奥さんは、せっかく理想の環境を手に入れたのに。「見つめ合わざるをえない状況」を手に入れたのに。
最後、夫は、余計なことをする訳だ。「オレがお前を守る」とか自分に酔ったような事を言って。
この環境を壊すということは、奥さんの理想の愛の生活が終わる、クリーピー夫の隷属に戻る、また後ろ向きの奥さんに戻るということだ。
そりゃ、奥さんも慟哭するしかないよね…と。
自分が変だと自覚がない夫の方が、お隣りさんよりある意味タチが悪いしなあ。新たなクリーピーライフの幕明けを告げる慟哭でもあり、奇妙なラブストーリーの終りを告げる慟哭でもあったなあと思う。
—
追記:あくまでも個人的な感想なんで、別にラブストーリーのつもりで撮ったんじゃないかもしれん。壮大な勘違いの感想のような気もする。でもラブストーリーと思わせるほど、クラッカーのシーンの竹内結子さんはキレイだった。映像がストーリーに従属し説明するのではなく、ストーリーを壊しかねない突出したシーンだったなあと、個人的には思う。
今まで竹内さんが苦手だったのに、ここまで肩入れする自分が不思議。
淀んだ空気感は嫌いじゃ無いが…
何とも言えない肌触りの悪い感じなのは嫌いじゃ無いけど、最後の最後に…でっ?!って聞きたくなる。途中で終わらされたイライラが
残ってしまう。原作とは少し違うらしいので、原作を読もうかと映画館を出るとき思った!
レビューを見てあまり評価よくないな、と思いつつ、キャストと不気味そ...
1800円返せ!
1800円返せ!と言いたくなるような、ひどすぎる映画でした。ストーリーもラストも滅茶苦茶。ほんだりさっていう女の子が何で出てきたのかわからない、高島が最後になんで正気に戻ったのかもわからない。人生50年、こんなひどい映画初めて見ました。
全382件中、261~280件目を表示