劇場公開日 2016年5月14日

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「実はコメディではありません。「無私の日本人」への憧憬。」殿、利息でござる! ドン・チャックさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0実はコメディではありません。「無私の日本人」への憧憬。

2016年5月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

Movix堺で映画「殿、利息でござる!」を見た。

堺雅人主演の「武士の家計簿」を見たのは2010年だが、
その原作者・歴史家・磯田道史による評伝「無私の日本人」に収録されている一編「穀田屋十三郎」を映画化した作品。
原作は文春文庫で読むことができる。

主演が阿部サダヲであること。
そしてTVCMや映画館などでの予告編でコミカルな部分ばかりが切り取られて放映されていることから喜劇なのかなあと思われがちだと思うが、まったくそうではない。

原作者、磯田道史氏は、関係の古文書を読んで泣いたという。

これは大真面目な歴史上の実話であり、農民、百姓、町民、商人が武士の圧制に抗った記録である。

江戸中期、仙台藩では、財政難のため民衆に重税を課していた。
そのせいで、破産や夜逃げが相次いでいた。
ある宿場町でも年貢の取り立てや労役で人々が困窮した。
造り酒屋を営む阿部サダヲは町の行く末を案じていた。
そんなある日、阿部サダヲは町の茶師である瑛太から、
仙台藩に金を貸し付けて利息を得るという、
宿場復興のためのアイデアを打ち明けられる。
町民の長である寺脇康文以下、妻夫木聡、きたろう、西村雅彦、竹内結子らが奮闘する。

殿様に貸し付けるための千両が貯まるまでの曲折が描かれる。
総額が千両になるまでに何年もの年月が流れる。

妻夫木聡の父である山崎努の思いや遺言や無私の町人たちの考えや思いに思わず涙してしまう場面がいくつもある。

満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。

ドン・チャック