「未公開の最新作はややトーンダウン」V/H/S ファイナル・インパクト Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
未公開の最新作はややトーンダウン
原題が「V/H/S:VIRAL」となった本作は、残念ながら日本での公開は実現しなかった。初めから興行収入的なものは考えて無さそうな作品だったが、物語のレベル的にはダウンした感じが強い。サブタイトルのVIRAL(ヴァイラル)はウイルスの爆発的な感染を意味する言葉であり、本作では第一弾から登場人物らを悩ませる呪いのビデオがアメリカの街に放たれ、住民がその呪いにかかる様がメインストーリーとなる。携帯電話から流れるそれを目にした者がまるで感染したかのように常軌を逸した行動に出るという物語だ。一台のアイスクリームバンと警察車両のカーチェイスが繰り広げられ、恋人をアイスクリームバンに連れ去られた主人公が自転車で追いかけ回すのが基本構成となるのだが、徐々に放たれる呪いの映像は好き放題に街に流されていき、主人公の行動と関係なく勝手に進行していく。こちらが再生しなければ進まなかった物語がまるで意思を持った様にも思える展開だ。
肝心の物語だが、まるでB級版「ドクター・ストレンジ」の「DANTE THE GREAT」はもはやPOVではない気もするが、過去作の中では派手なアクションを展開する印象深い作品だった。また、メキシコでスケボー青年らが謎の髑髏集団に襲われる「BONESTORM」はいかにもな作品でありながら、どこかミュージックビデオ風の「らしい」作品だ。一つ、ナチョ・ビガロンドがメガホンを取った「PARALLEL MONSTERS」は平行世界を描いたSFホラーなのだが、この物語がぶっ飛び過ぎてある意味名作とさえ思える。これはぜひチェックして欲しい。
本シリーズといえばエログロまっしぐらの作風がお馴染みだが、本作にはそれが薄いというシリーズの根幹を揺るがしかねない作風になっており、それが残念な所の大きなポイントである。おっぱいサービスシーンはごく僅かで(別に期待はしてないが笑)スプラッタ描写がかなり大人しく、出てきたかと思えば粗雑なCGという始末。やはりおっぱいと血飛沫が無くてはこの作品は楽しめないという事が分かったし、前作らがいかに異常な作品だったのかを改めて確認した。