劇場公開日 2015年10月31日

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カミーユ、恋はふたたび : 映画評論・批評

2015年10月27日更新

2015年10月31日より新宿シネマカリテほかにてロードショー

40歳から15歳へ逆戻りしたヒロインの可愛らしさに、誰もが元気をもたらされるはず

ノエミ・ルヴォウスキーは、日本での一般的な認知度は低いかもしれないが、フランス映画好きにはたまらない、まるで「良質な作品」の代名詞のような存在である。いわば彼女が関係している作品なら、品質は保証済み。女優として、地方の保守的な母親から、辛辣なユーモアに富むインテリのマダムまで、どんな役柄もこなす名バイプレイヤーであると同時に、国立映画学校出身で、脚本家としてアルノー・デプレシャンフィリップ・ガレルヴァレリア・ブルーニ・テデスキらとコラボレーションを行いつつ、自身も監督作を多数発表している。しかし彼女の素晴らしさは、そんな経歴を持ちながら、決して作家主義を振りかざすわけでも、映画マニア向けのカテゴリーに留まるわけでもない、自由で多彩でおおらかな魅力に満ちた作品を作ってしまうところにある。本作もフランスではほぼ90万人の動員を集めた大ヒット作となった。

ルヴォウスキーが自ら演じるヒロイン、カミーユは40歳。女優になるはずがエキストラで毎日を食いつなぎ、猫とお酒が心の支えで、学生時代に大恋愛の末結びついた夫からはついに離婚を言い渡される。そんな四面楚歌の彼女が、大晦日のパーティで酔いつぶれて目を覚ますと、なんと15歳に逆戻りしている。自分の目には昨日と変わらない外見なのに、どうやら他人には可憐な少女に映っているらしい。

ここからがルヴォウスキーの本領発揮だ。それならば失敗した自分の人生をここで変えてやる、と、十代の青春を生き直そうとする。果たして彼女は未来を変えることができるのか、という「バック・トゥ・ザ・フューチャー」的なプロットがもたらすスリルとともに、いくつになっても恋に不器用なヒロインの可愛らしさに、こちらは知らず知らずのうちに引き込まれていく。実際、40歳から15歳へ、ふつうに考えればかなり無理のある設定を、ウィットたっぷりにパワフルに演じきってしまうルヴォウスキーの姿(ロック・バンド、クラッシュのTシャツに水玉のフレア・スカートというかつての原宿的装い!)は、同性なら誰もが元気をもたらされるに違いない。ちなみにアラフォーの観客なら、懐かしのヒット曲を耳にする楽しみもあるはずだ。

過ぎ去りし日の弾けた自分を再体験したカミーユの、ラストで映し出されるその後ろ姿が、多くの余韻をもたらしてくれる。

佐藤久理子

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