湯を沸かすほどの熱い愛のレビュー・感想・評価
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熱くてあったかいお母ちゃんの愛
映画賞を席巻、昨年の邦画を代表する一本。
評判が評判を呼び、こういう良質邦画が好物な自分にとっては見たいと思ってて、いつもながら地方の我が地元の映画館では上映せずレンタルを待っていた。
…で、なくとも、公開前から気にはなっていた。
本作で商業映画デビュー作となる中野量太監督の自主製作時代の「チチを撮りに」が非常に良くて、次回作も是非見たかった。
余命僅かの母親とその家族の物語。
家族愛、難病モノ…ベタでお涙頂戴な題材を扱いながら、バイタリティー溢れる快作に仕上げた演出が見事。
やはり、母・双葉の存在感が頼もしい。
死ぬ前にやるべき事をやる。
潰れた銭湯を再開させる。
学校でいじめに遭う娘・安澄を立ち直らせる。
蒸発した夫・一浩を呼び戻し、その連れ子・鮎子をも迎え入れる。
何とも破天荒!
各々のエピソードで泣きの要素もあるし、深刻なシーンやしんみりとしたシーンもあるにはあるが、それら全て感情大いに揺さぶる展開として活きてくる。
所々、ちょっとした伏線も張られている。
何故か唐突に手話が出来る安澄。
双葉が一浩に約束したエジプトへの新婚旅行。
毎年必ず送られてくる高足ガニ。
これら後に巧く感動を盛り上げる。
中盤、双葉は安澄と鮎子を連れて旅行へ。
その道中、双葉はある秘密を安澄に打ち上げるが、てっきりまだ話していなかった余命僅かの事かと思ったら、意外な事実。実は、旅の目的も…。
本作は家族愛を描いているが、客観的に見ると、ちょっと変わった家族のカタチ。
そういや、「チチを撮りに」もちょっと変わった家族の話。
でも、描かれている事、伝えたい事は真っ直ぐだ。
何と言っても本作は、キャストの熱演について語りたくなる。
全員が素晴らしい演技で魅せてくれる。
双葉役の宮沢りえ。
明るさ、強さ、逞しさで家族を包み込むが、この役が活きたのは、それと対比のシーンがあったから。
医師から宣告され、一人空の湯船の中で絶望する。忍び寄る病に苦しむ。終盤のあるシーンで、嗚咽しながら本音を吐露する。
これら弱さもあって、双葉という役が本当の意味で生きた。
安澄役の杉咲花。
引っ込み思案でいじめられっこだったが、母の影響を受けて逞しくなっていく。
序盤と終盤とでは雰囲気が確かに違う。目に見えて違うのではなく、自然と違うのだ。
宮沢りえと対峙するある二つのシーン。目と表情の演技が言葉にならないほど素晴らしい。
本当に役を巧く演じ、惹き付けられる。
オダギリジョーのダメ夫っぷりがハマり過ぎ(笑) でも何処か憎めず、ダメ夫だけど不器用な優しさを感じさせる。
旅行中出会うヒッチハイカー役の松坂桃李、探偵役の駿河太郎とその娘も、皆好演。
鮎子役の女の子がこれまた巧い!
涙ながらに話すあるシーンは、本作の中でもとりわけ感動を誘う。
本作、結構ツッコミ所もある。
出来過ぎっちゃあ出来過ぎだし、リアリティー的にはどうなのよ?…と思うシーンもある。
最後なんてびっくりだ。
あれ…、そういう事だよね…? 法には触れないの…?
考えだしたら腑に落ちないが、本作の持つ活力に心揺さぶられる。
それはまるで、双葉…いや、お母ちゃんそのものだ。
全身全霊で家族や関わった人たちを愛してくれたお母ちゃん。
だから皆もいつまでもお母ちゃんを忘れない。
お母ちゃんの赤く情熱的な愛情深さを、湯のようなあったかさを。
“お母ちゃん”の響きがいい。
自分の死が目前に迫った時に何が出来るのか。
娘がいじめられてるときの対処法が終始納得いかずその後のストーリーも...
宮澤りえとタイトルがいい
女性の友情物語
涙
おかしい?
監督はわざと馬鹿にして造ってるのではないだろうか、観客に対して、こんなの好きだよね、泣くよね、を羅列して、泣かせどころを音楽で盛り上げて、と、造りのレベルが低すぎる。味の素たっぷり山盛りの映画。日本の古いお涙頂戴TVドラマの作り方の羅列。映画学校でて、このレベルか?わざと?馬鹿にしてる?とは言え、この映画を観て喜んでいる人達がいる。日本も日本の映画界もいまだに古い脳みそがカスのように残ってるのでは、と思ってしまう。さてさて、こちらの感受性のレベルが低すぎるのか?人生経験が足りないのか?いや、感覚世界が違うのだ。わざわざお金払って客観的に映画を観に来る人は居ない。そして、こんなことは書かない。只々、自分には合わなかったと言うだけで、観たことが失敗だったと思うことなのか。とにかく監督は映画界のラーメン二郎ではないだろうか?
あわない人も居るんです。。。
熱い愛が感じられる感動作
断トツで2016年邦画No.1はこの作品です。
余命を宣告され残り短い命を生きるお涙頂戴映画だと思ったら大間違いでした。設定だけ聞くとそんな凡庸映画に思えるけど、この作品の最大の魅力は悲くて泣けてしまうのではない点。もちろん悲しみは涙腺の緩みを増長させる一因ではあるが、人の持つ勇気や心の強さだったり、相手のことを考えて敢えて厳しい姿勢を見せ愛情をもって接することだったり、状況をすべて「受け入れる」ことに感銘を受けて泣けるという構造になっていて、もちろんそこには緻密な脚本が欠かせないんだけども、それに加えお母ちゃん演じる宮沢りえと娘役の杉咲花の演技力がこの作品の演出の期待値を上回っていることも大きな要素だと思います。特に杉咲花の海のシーンはこの映画の見どころの一つと言っていいと思います。
商業映画としてはデビュー作だという中野量太監督がこの映画に込めた想いが最もよくわかるセリフで「お母ちゃんの遺伝子がちょっとだけあった」というシーンがありましたが、ここに私は監督が見る者に対して受け取ってほしい本質的なものがあったように感じました。(ちなみにこのシーンは2度目の鑑賞でよくわかります)
そしてエンディングで「きのこ帝国」が流れて映画タイトルが出るんですが、そこでもう気持ちの良いぐらいズドーンと撃ち抜かれました。あんなにも心地良いくらい腑に落ちる感覚は、そこに至るまでの綿密な脚本や伏線の回収があってこそなんだなぁと感じさせ、そのラストで改めてこの作品の素晴らしさを気付かせてくれました。
秀作!!
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