この世界の片隅にのレビュー・感想・評価
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名作映画
戦争前から戦後までの時代をすずさん(そぼくな能年玲奈さんの声が実によくマッチしている)の目線で描くアニメ映画
まるで岡本喜八の映画の登場人物のように辛い境遇でも明るく楽しく生きる姿もよかったけれど、後半、目の前で姪が死に自分も腕を失ってからは暗いながらも必死に生きる姿もまた良かった。
住んでいる世界が違うんだ。と別れてしまう娼婦
病に体を蝕まれてしまった妹
実はすずさんに思いを寄せていた巡洋艦の水兵
時代にほんろうされる登場人物たちの心境を考えると重い気持ちになるが、孤児を拾い家で育てる家族になるラストからは明るいものを感じた。
そして驚かされたのが砲撃や飛行機のエンジン音
おそらく当時の呉で戦時中を知る人の証言かもしれないけれど、本当に大きくて恐ろしく感じた。
叔父の影響で戦争映画は結構見るけれど、こういう音響で驚かされたのは初めてだった。
海にずらりと浮かぶ戦艦大和のような艦艇
迎撃に向かう紫電を見て馬力がいいんだ。と語るおっちゃん
戦争は良くないことだけれどこういう兵器がカッコいいんだよね。
「機動戦士ガンダム ポケットの中の戦争」や「太陽の帝国」のような要素を感じた。
冒頭とラストに出てくる謎の存在「ばけもの」
アレは地獄の黙示録のクラシックを鳴らし飛ぶヘリコプター部隊、
戦争のはらわたのOPとラストに流れる童謡ちょうちょ
炎628の発砲していくと若かった時代~赤ちゃんになるヒトラーの写真
激動の昭和史 沖縄決戦の戦場をさまよう女の子
それらのような超現実的な演出なのかと思う。
リアルな戦争映画だからああいうファンタジーのような演出がはえるのだろうか。
今までみた戦争映画の中で上位に来る作品だなと思った。
素敵な作品だと思います。
柔らかいタッチで描かれていて、けれどことこまかにストーリーができていて考えさせられる作品だと思います。 今私たちがこうして不自由なく生きていけるのは、この時代を生き抜いてくれた人達のおかげだと思う。そう考えると命を大事にしていかなきゃと思います。戦争映画だけど、重すぎず、けど伝えられるものはあって、見るべき作品だと思います。
夏休み、すべての子供達に観て頂きたいと思います 本作の感動は、本作の伝えるメッセージだけでなく、彼等彼女達の中から次代の日本映画の隆盛をもたらす、最高の人材を生み出す力を持っていると確信からくるのです
とてつもない大傑作
疑いもなく日本映画オールタイムベストの屈指の作品です
黒澤明、溝口健二、小津安二郎らの世界に誇る日本映画の傑作をも凌駕するような最高峰の作品です
いくら賞賛してもし足りません
日本映画の最優秀な才能は今や、アニメ業界の中に集中している事が、あきらかになってしまっています
日本映画の最上級の伝統は、実はアニメ映画にこそ受け継がれていると感じました
知性、企画力、構成力、演出力、脚本、編集、音響
何もかも見事としか言えません
演技力だって、のんの声の演技は圧倒的でした
彼女でなければ達成出来ない高みまで作品の感動を押し上げています
彼女の声だけの演技で、本作で描かれていない、すずの幼児の頃から、この本作のエンドロールよりももっとあとのおばあちゃんになったすずまでも感じさせています
すずの全人生が演技となっています
ここまでの傑作を、実写映画では作れない
そこが日本映画の最大の問題であり課題であると思います
例え撮ろうと試みても、考えうる最高のスタッフ、俳優陣を揃えたとしても、とても本作の足元にも及ばないものしか出来ないだろうことは、少し想像するだけで容易に予想できてしまうのです
残念でなりません
一体何故なのか?
そこを真剣に解き明かさねばなりません
夏休み
すべての子供達に観て頂きたいと思います
本作の感動は、本作の伝えるメッセージだけでなく、彼等彼女達の中から次代の日本映画の隆盛をもたらす、最高の人材を生み出す力を持っているとの確信からくるものなのです
良くも悪くも
イラストが可愛いく描かれているから残酷な場面がより観るのが辛く感じた
実写の戦争映画は怖くて観れないって人はこの映画から観てみたらいいね
日本人として、人間として映画の出来が良くも悪くもこういう映画は絶対観た方が良いと思う
どんな状況でも人は生きていかなければならないのだと
事前の情報を一切知らないで映画.comの評価だけで見てみた。
前半を見てすずの平凡な一生を描くのかな?と思ったら。。。
戦時下で、ともあれ人々は貧しくとも生活をしていかなければならないわけで、
そんな中でも舞台である呉市は戦況が悪くなるまでは、ごく平凡な当時の日本人の
生活を送っていたわけだ。
作品全体の雰囲気や絵のタッチ、音楽など
全てがほのぼのとした表現がなされているが、物語は後半終戦間近の広島を描いているため
雰囲気とはかなりギャップのある展開になる。
この作風と戦争の残虐さと生活。悲惨で悲しくてやるせない気持ちを表現し
他に類を見ない世界観を作っていると思う。
すずが腕をなくしても、径子が晴美を、夫を、家を、息子を失っても、
(径子が一番悲惨だけど。。)
そんな気持ちをしながらも次の日からは世界は回っている。
この世界の片隅にというタイトルは非常にぴったりだと思う。
生きるというか生活するという言葉が合うと思う。
どんな時でも人は前を向いて生きていかなければならないのだと
思わされた物語だった。
能年玲奈の声を久々に聞いたが非常にすずにあっていた。
地味にリアル
「この世界の片隅に」を観てきました。
良い映画でした。
衒いがないのが良いですね。
変な正義感を振りかざすとか、問題提起してくるとかなくて。
あの時代に、どこかで本当にあったであろう「日常」を集めて描いただけ。
それだけで、十分に胸に刺さるし、十分に温かかった。
父は島根の出身でして、終戦翌年の9月に生まれてます。
祖母は、島根の山の中で「戦争に行った夫」を待っていた頃に、原爆の光を山の向こうに見たそうです。
映画のシーンさながらです。
きっと、あのようなことが広島では本当に起きていたことでしょう。
平和な世の中を保持しなくては。
それが、私たちの世代の使命ですよね。
厳しい戦時中を生き抜いた一人の女性の半生
戦争に関する映画は若い学生時代に観た[蛍の墓]という映画でかなりつらいショックを受け、長い間観るのを避けていましたが、知人の勧めで久しぶりに戦争に関する映画を観ました。戦争映画は人が多く死んで、つらく悲しい映画が多いですが、この映画はそれらの通常の戦争映画とは一線を画す映画だと思います。1910年代から1920年代経て、日本の太平洋戦争はじめから終戦、敗北までの時代が、広島に住む一人の女性の半生とリンクして描かれています。主人公のすずさんという若い女性はとても穏やかでやさしい女性です。十代の若さで嫁ぐことになり、そこで健気に夫や家族につかえる様子が描かれています。戦時中の空襲や防空壕で過ごす様子など戦争時に生きた人々のいきる様子 は戦後に生きる時代の人々に強いメッセージを投げかけているように感じました。すずさんの人生を通じて我々はなにかを学ばなければならないと思います。
内容は凄く良かったです。
涙が止まらない。
ただ、声優がプロじゃないのが、残念でしたので、⭐️3ですね。
18歳の時の声と子供の時の声と変えることすらできない素人じゃ、感情表現の声の出し方も出来ない素人じゃ、作品の良さを消してしまう。
そこが本当に勿体なかった。
穏やかだけど実は強烈な反戦映画
お婆ちゃん世代の戦前から戦後の激動の日本。割と最初の方で、ああこのままだと・・と知っているだけにヒヤヒヤした。今世界はコロナと戦っていて、その前に自分の国の政府との考えのズレにイライラしているけれども、この映画の時代は無理矢理戦争に駆り出され、日本に残っていても空襲が命を奪っていく。まあどちらも政府によるところだ。どんな政治家を選ぶかで人生が延びたり縮んだりする。選挙は大切だし、教育も大切。この当時を生き延びて今の日本を築いてくれたお年寄りがコロナで再び苦しめられている。政治家さんは自分だけでなく国民の命も大切にして欲しい。
***主人公すずは人の心を明るく変えられる実は凄い強い人。私なら結婚してすぐに義姉の態度に腹が立って広島へ戻るかも?彼女は若いけど心が広いし鈍感力と包容力がある。次第に義姉も素直な彼女の事が好きに。広島から爆風によって飛んできた障子戸に「あんたも広島から来たんね」と言って広島への想いを巡らせていた。昔の女性は周りが縁談を持ってくるケースが多かった様なので、義姉の様に恋愛結婚は珍しいだろう。すずを見て、私の祖母達の苦労や貧乏生活の中でも僅かな楽しみ方を垣間見た様な気がする。一緒に観て色々当時の話を聞いてみたかったなぁ…
※焼夷弾が自宅に落ちた時、一時悩んだのは家が燃えれば広島へ堂々と帰られると考えていたのかな。あの時は呉で生きていく事を選んだけど片腕は無くなるし、晴美ちゃんは死んでしまうし呉での経験は辛かったのだろう。
映画の構成では、画面の入れ替わりが所々早すぎたりして分かりにくいシーンがあったり、原爆投下のシーンは2回あったりまとめるのが難しかったのかなと思いました。リンさんは少ししか出ていないのにすずはリンさんの事を何かと心配していたり変だなと思ったら、原作ではリンさんはもっと重要人物のようですね。
※良かった、良かったのシーンで「4月にはテルさんの紅を握りしめた右手」のすずのセリフがあって随分何度も見返して探したけれどテルさんすら出てこない。ネット検索してようやく分かりました。リンさんのお友達のようです。この台詞は省けなかったのかな?
※ところで玉音放送の直後のシーンで家々が映りその先に韓国の国旗の様なものが見えます。巻き戻し一時停止して見ました。一瞬です。これは一体どう言う事なのでしょう?呉に韓国人が住んでいたのでしょうか?
悲しくてやりきれない
大人になって「やりきれない」と思う事が多くなりました。若い時は困難は努力でどうにか出来るものだと思っていました。でも、世の中にはどうにも出来ないことがこんなにもたくさんある。悲しいけど受け入れるしかないんだと。
初めて観た時(コロナ前)は、戦時中なのにほのぼのとした世界観や昔の人らしくない温かな人々に惹かれ、そちらの方に注目が行きました。
二回目をコロナ真っ只中で観て、映画の後半の戦争の悲惨さがすごく現実味を感じました。明日どうなってるかも分からない、一瞬にして日常を奪うのがすぐ側にある恐怖を強く感じました。
仕方ない、誰に何を怒ればいいのか分からない、努力でどうこう出来る問題じゃない…。登場人物たちが、やりきれなさを抱えて生きていく様子に共感し、辛くなりました。辛くても生きていくしかない、それだけなんだと。
今回、自分の心に溜まっていたやりきれなさと映画が重なって少し救われた気がします。辛さに慣れて来てしまっていたので「辛いね、苦しいね、腹立つね」と言ってもらえた気がしました。
私もすずさんも何かを成し遂げるような人ではないけれど、日常の小さな幸せをみつけ、自分の役割をこなし、家族と支え合って、なんとかやって行きたいと思います。
この世界の片隅に
当時の人々の生活がよく分かる。
配給の停止、防空壕の設置、空襲、原爆…。戦争の足音が日を経つごとに強く聞こえてくるのがリアル。
死ぬ事が意外にあっけなく描かれてた。誰もがいつ死ぬか分からない世の中。
コロナできつい日々なんてこの時代に比べると本当に大したことない。
そんな中で右腕を失い、絵を描くことも奪われる。
それを彼女は今までの思い出全てが奪われたように感じてしまっていた。
この作品は突如として絵画チックになるが、それが意味するものはなんなのだろう?
すずの物語はまさしくこの世界の片隅でおこっていることで、この時代では他の人々にもそれぞれに物語がある。
すずの『この世界の片隅で私を見つけてくれてありがとう』というセリフが印象的。無理やり連れてこられたみたいに言われるシーンが何度かあるが、このセリフがすずの気持ちの全てを表してる。
いつの時代も、世界の片隅にいる誰かに出会い、共に生きていくことは変わらない。
戦争の悲惨さを違った角度から見せる珍しい映画
たまたま録画してて、戦争ものということも知らずに見ました。
中盤までは少女の平凡な日常をただただ見せられている・・という感じで
正直つまらないなぁ・・・て思っていた矢先・・。
■戦争を傍から見ている庶民の日常が視点。
戦争映画ってやっぱり中心人物の話になりがちですが
こちらは庶民の日常を視点にしています。
若い主人公が見知らぬ家に嫁いでハゲができるほどストレスを抱えながら
食糧難、物資不足の㊥、工夫しながら毎日の食事を考えたり
不器用ながらも裁縫がんばったり・・家事を一生懸命こなしています。
すずの日常を見ていると不思議と自分も、その時代に生きている感覚になります。
この日常を永遠と見せられるのかと最初は思っていましたが
これは観客をこの時代にいるように思わせる仕掛けだったのかもしれません。
■可愛らしい絵のタッチとは裏腹に・・・ギャップがあるから突き刺さるのか。
最初はこの可愛らしい絵のタッチにキスとか・・・ちょっと似合わんなぁ。
・・くらいに思いながら見てました。
すると中盤から戦争の悲惨さが随所に出てきて、
可愛い絵なのに残酷なんですよね。
それがなんだか妙に心に突き刺さるんですよ。
■妄想で書いた絵が現実だったのね。
誘拐にあったことを絵で描いてたけど、あれ現実だったのね。
そこで将来の旦那に会うってわけか。
スイカ食べてた座敷わらしの女の子も遊女の美人さんになってるわけね。
フラグ回収もしっかりしてるのも見どころ。
■傘のくだりは隠語。
なんとな~くそうじゃないかな?・・って思ってたけどやっぱりね。
新婚初夜の営みの「合言葉」だったようです。
昔の人のほうが慎ましいというか・・なんというかw
■泣いたところ3つ。
・広島に帰ると言いながら空襲の㊥、夫に守られるシーン
・義理の姉と和解してここに居させて欲しいと言うシーン
・広島に原爆が落ちて母親が亡くなり、
すずに助けを求める見知らぬ女の子のシーン
特に最後の母親を亡くした見知らぬ女の子のシーンですが、
沢山の人が死んでいるから、それがもう当たり前のようになっているので、
すずも悲観な顔をするわけでもなく普通な顔して
女の子を一緒に連れて帰るところ。
泣かせようとする演出には見えませんでしたが、私は号泣しました。
【火垂るの墓】や【はだしのゲン】などの、戦争や原爆の悲惨を
正面から描いた作品と違い戦争に巻き込まれていった呉の市民の生活から
戦争を描いている作品で見せ方が新しい・・というか、
こういう映画珍しいなぁ・・って思います。
戦時中の中にも笑顔はあるし、悲しみもあるけれど
さほど重くない内容に仕上げています。
もし自分たちの日常に戦争が現れたら、こうなるのかもしれないと
リアルに考えさせられる映画でした。
今の平和があることに感謝しようと心から思いました。
75
「絵」の使われ方が見事だった。
すずの心情を表す水彩画のようなタッチ、暗闇の中で線香花火が弾けるような映像、失った右手、左手で描いたような歪さという表現、「絵」というキーワードを織り交ぜるだけでここまで深みを出せるのがすごい。
画の雰囲気と内容がいい意味で合ってなかった
最初の印象はそんなにダークなものではなく、戦争はダメだよみたいな映画かと思ったが、主人公の北条すずが戦時中から戦後を生き抜く姿が力強く、且つそのままに描かれていたように思えた。心の動きがかなり如実に表現されており、なごやかな絵の中(恐らくすずの「普通さ」からみた世界を表しているのだと思う)で語られる話は希望もあったしなかったとも言える。空襲の描写が多いのが戦争映画の特徴だと思っていたが、これはそんなに多くなく、描かれる場所も家庭が中心であるため、個人の戦争がよく描かれていた。
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