「穏やかだけど実は強烈な反戦映画」この世界の片隅に 見聞さんの映画レビュー(感想・評価)
穏やかだけど実は強烈な反戦映画
お婆ちゃん世代の戦前から戦後の激動の日本。割と最初の方で、ああこのままだと・・と知っているだけにヒヤヒヤした。今世界はコロナと戦っていて、その前に自分の国の政府との考えのズレにイライラしているけれども、この映画の時代は無理矢理戦争に駆り出され、日本に残っていても空襲が命を奪っていく。まあどちらも政府によるところだ。どんな政治家を選ぶかで人生が延びたり縮んだりする。選挙は大切だし、教育も大切。この当時を生き延びて今の日本を築いてくれたお年寄りがコロナで再び苦しめられている。政治家さんは自分だけでなく国民の命も大切にして欲しい。
***主人公すずは人の心を明るく変えられる実は凄い強い人。私なら結婚してすぐに義姉の態度に腹が立って広島へ戻るかも?彼女は若いけど心が広いし鈍感力と包容力がある。次第に義姉も素直な彼女の事が好きに。広島から爆風によって飛んできた障子戸に「あんたも広島から来たんね」と言って広島への想いを巡らせていた。昔の女性は周りが縁談を持ってくるケースが多かった様なので、義姉の様に恋愛結婚は珍しいだろう。すずを見て、私の祖母達の苦労や貧乏生活の中でも僅かな楽しみ方を垣間見た様な気がする。一緒に観て色々当時の話を聞いてみたかったなぁ…
※焼夷弾が自宅に落ちた時、一時悩んだのは家が燃えれば広島へ堂々と帰られると考えていたのかな。あの時は呉で生きていく事を選んだけど片腕は無くなるし、晴美ちゃんは死んでしまうし呉での経験は辛かったのだろう。
映画の構成では、画面の入れ替わりが所々早すぎたりして分かりにくいシーンがあったり、原爆投下のシーンは2回あったりまとめるのが難しかったのかなと思いました。リンさんは少ししか出ていないのにすずはリンさんの事を何かと心配していたり変だなと思ったら、原作ではリンさんはもっと重要人物のようですね。
※良かった、良かったのシーンで「4月にはテルさんの紅を握りしめた右手」のすずのセリフがあって随分何度も見返して探したけれどテルさんすら出てこない。ネット検索してようやく分かりました。リンさんのお友達のようです。この台詞は省けなかったのかな?
※ところで玉音放送の直後のシーンで家々が映りその先に韓国の国旗の様なものが見えます。巻き戻し一時停止して見ました。一瞬です。これは一体どう言う事なのでしょう?呉に韓国人が住んでいたのでしょうか?