「今までの日本映画をマンガ・アニメで表現してみた作品という印象でした。」この世界の片隅に Push6700さんの映画レビュー(感想・評価)
今までの日本映画をマンガ・アニメで表現してみた作品という印象でした。
原作未読。見始めて最初に思ったのは地味ということ。
ちょっと日本昔話風の絵で、派手さがまったくない。
柔らかな感じで、映画の内容とはこれ以上ないくらい合っているのだけれど、これではシネコン的な映画館ではかからないと思った。
あと最初に思ったのはのんさんの声。
一発で顔のイメージが浮かんできてよくないかも?と思った。
でも、見ているうちにのんさんと主人公のキャラクターが合っているので、徐々に重なってきていい感じになった。
顔がわかるのも、主人公のキャラクターと合っていれば、相乗効果でよくなるのかもしれない。
この映画はお笑いで言うつかみ的なものはないけれど、慣れてくるとじわじわくる感じになっていた。
見終わった感想としては、期待が大きかったせいかもしれないけど、そんなに感動したという程でもなかった。
アニメとしては同時代を扱っている宮崎監督の『風立ぬ』の方が上だと思う。
確かにいい映画で、キネ旬1位でも文句ないけれど、今までの日本映画で原爆を扱った映画とあまり変わらない感じがした。
というか、今までの日本映画をマンガ・アニメで表現してみたという方が近いかもしれない。
最近のものでは『君の名は』も、題名からしてそんな感じだけれど『転校生』その他をくっつけたようなアニメ映画だった。
この映画の場合は今までの原爆を扱った映画に『三丁目の夕日』を加えたような内容だった。
実写でもいけたのだろうけど、その場合はたいへんな製作費がかかるし、かなりガチな映像になるので、万人うけは難しい。
その点アニメにすれば、ガチではなく、かなりソフトな面白い感じの映像になるし、万人に受け入れられて、若い人にもうけて、外国人にも見てもらえる可能性が増える。
興行的にも望めるし、日本映画の復興にもなるし、いいことずくめ。
この映画とか『君の名は』みたいな作品は日本映画とアニメの新しい形なのかもしれない。