「鉄板アカデミートリオが創り出す秀作!」ブリッジ・オブ・スパイ Cディレクターシネオの最新映画レビューさんの映画レビュー(感想・評価)
鉄板アカデミートリオが創り出す秀作!
スピルバーグ監督は
エンタメ系のイメージが強いけど、
「シンドラーのリスト」や「ミュンヘン」
「プライベート・ライアン」などの
精力的に取り組む史実系も大好きです。
そんな監督の3年ぶりの史実系作品に、
トム・ハンクス主演と
ジョエル&イーサン・コーエンの脚本で、
期待せずにはいられない。
今回の題材は、米ソ冷戦時代に起きた
「U2撃墜事件」。
米パイロット救済で交渉に関わった弁護士、
ジェームス・ドノヴァンの活躍を描いたもの。
まぁ一言で言えば、
撃墜された偵察機の米パイロットと
東独で拘束された学生を、
米で捕らえたソ連のスパイと交換するお話。
それがスピルバーグの手にかかれば、
上質なサスペンスエンタテインメントに
仕上がるからさすがです。
退屈になりがちなテーマも、
演出が秀悦すぎて飽きさせることはありません。
3人のバラバラのエピソードが、
最後には見事に収束して繋がる様は爽快。
敵スパイとの友情が生まれるのも想像通りだけど、
やっぱりぐっときますね。
ノンフィクション映画は、
実在したキャラクターの人間味やリアリティを
再現できるかが大事だけど、
それが見事に成功。
全編に名優トム・ハンクスが演じるドノヴァンの、
魅力的な人物像が支配しています。
世論の敵であるソ連スパイの弁護に、
単身敵地での交渉など、
自分や家族がどんなに危険だとわかっていても
決して信念を曲げない男。
どこか不器用だけど人情あふれるキャラクターに、
引き込まれっぱなし。
あぁ、映画はこうでなくっちゃね。
ラストで緊迫した現場から平和な現実に戻ってくる
トム・ハンクスのうまさにも、
思わずニヤリです。
もちろんディテールのクオリティも、
抜かりなし。
1950〜60年代のアメリカや、
東西ドイツ分裂でのベルリンの壁や街並みは、
想像力も掻き立てて見ごたえがあります。
U2偵察機の墜落シーンも、
見事なVFXで再現されていました。
史実的には脚色もされてるだろうけど、
コンパクトにしっかりエンタメに仕上げる
演出と脚本と俳優。
そんな鉄板アカデミートリオが創り出す秀作で、
忘れられない映画になりそうです。