「偉業」ブリッジ・オブ・スパイ U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
偉業
凄い内容だった。
実話を元にと言う事だが、ホントにこのままの内容だったのだろうか?
時勢だったとはいえ、この立役者は一般人だ。優れた人物であったのは間違いないだろうが、KGBやCIAと渡り合うなど、生半可な肝の据わり方ではない。
主人公がマイペースに話しを進めていくから、何て事なく話を追ってはいくが、ふとした拍子に未曾有の穴に放り込まれそうな危機感を感じる。
命の危険はないのかもしれないが、後ろ盾や保証のない交渉による危険性って、もっとあってもいいようなもんだが…。
とにかくソレをあまり感じさせない。
「不安が何かの役に立つのか?」と劇中に幾度か主人公は問われたりするが、主人公が不安と感じるレベルは常人のソレとは一線を画してるかのようだ。
超高度な政治的駆け引きのはずなのだが、話しのトーンは、SRカードを交換しようよとやってるくらいのトーンだ。
猜疑的な視線も、汗のしたたりも、生唾を飲む事さえない。
追い込まれてます感を一切出さないから、そうなってるんだろうが…事が成就した時くらいはその反動を表現してもいいようなもんだが…しない。
そして、この主人公が擁護しようとしてるスパイがリアルじみてていい。
叔父さんなのだ。
ベルサーチとか着ないし、ハマキをくゆらしもしないし、女性を口説きもしない。
この人物が…また…いい人そうで、ナイスなキャスティング!
そして、橋の上で、彼は同胞にハグはされなかった。
後日談はテロップとして流れるが、真実は知る由もないだろう。
とにもかくにも、ちょと感じた事がないスリルを味わった作品。
冷戦下の東ドイツの描写とか背景とか、凄く作り込まれてて息をのんだ。