「レベル高くて、邦画が霞むね。」ブリッジ・オブ・スパイ だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
レベル高くて、邦画が霞むね。
コーエン兄弟が脚本に参加しているという点と、友人が良かったと言っていたの見てみることにしました。
結果、とても良かったです。
音楽でやたら盛り上げないし、
台詞が粋だし、
泣かせ演出ないし、
それでいて絵でいろんなことがわかるように作られているし、
サスペンス感もあるし、
満足しました。
スピルバーグ、面白いんですね。そういやリンカーンもスピルバーグでしたね。社会派のは見たい類ですね。
こんな上質なの見てしまうと、似た系統の邦画がとんでもなくかすむやないですか。
やはり、映画はハリウッドが最先端なんだなーて思いました。
ソ連のスパイの人と、トムハンクスが信頼を持ち合う直接的な描写はないんです。
でも、少ない台詞と表情と小道具(始め断った絵具を差し入れた)とかで読み取れます。それもわざとらしくない。画面の端っこでチラリみたいな所がね、いいなーと。
あとは、「不安は?」「役に立つのか?」のやり取りが、いいなと思いました。その短い台詞で人柄の奥行きが感じられた気がしました。
ドノヴァンも、10人の被害者がいようと保険は1つの契約なのだから一件ですよ、とか、そうゆう話術が面白かったです。あなたの国の名前は長いからソ連でええでしょとか、ね。
冷戦時代、それもキューバ危機の前っぽかったですが、法治国家で民主主義を採用するアメリカでさえ、敵は死刑でオッケー!と判事さえも疑い無く思う時代だったのですね。
その時代にあって、捜査令状のない捜査は無効と言えるリテラシーの持ち主は、今から見ればしごくまっとうですが、大変嫌われたようです。命さえも狙われるのですね。
物語としての面白さと、歴史の一側面と、その中に生きた個人の考え、生き方、個性が、味わえる良い作品だと思いました。