劇場公開日 2015年9月19日

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「MCUに初期衝動!イヤーワンの興奮を取り戻しに彼はやって来たのだ!」アントマン ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5MCUに初期衝動!イヤーワンの興奮を取り戻しに彼はやって来たのだ!

2015年9月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

興奮

MCUはアベンジャーズありき。アベンジャーズで単体ヒーローが集結することこそが、或る意味での到達点。本懐。
だからアベンジャーズに向けて単体のヒーローが量産されていく、と見做されても仕方がないし、その雰囲気は少なからずあります。少なからずじゃない。めっちゃあります。うん、でもまあ、それは自分的には別に良いんです。MCUという括りもアベンジャーズも好きなので。で。
で、やっぱりね、それを良しとしない人もいる訳ですよ。ゴチャゴチャ鬱陶しいと。手を出し辛いと。敷居が高いと。自分なら「なら観るな」の一言で済ませられますが、映画作る側、マーベル側からしたら、いやいや待ってよと。見離さないでよと。万人に観てもらたいよと。そういう中で「MCUに興味がない人をどうやって劇場に引っ張ってこようか?どうやってMCU沼にひきこもうか?そうだ!アントマンがある!」という思惑があったのかは知らないですが(ないでしょうね)、まさしくアントマンがそういう感じの仕上がりであります。
MCU、アベンジャーズを全く知らなくてもOKでして。それらを外っ淵に置いておいて、アントマンだけで世界の平和を守る!という展開にしておりまして。全く気にしなくて良いんですよ、本当。
うん。や、勿論、出てきますよ?アベンジャーズとかシールドとかヒドラとかアイアンマンとかキャップとかその手のMCUワード(アベンジャーズ内から一人だけ緊急参戦するヒーローも居ますしね)。でもね、その土台の上に立ってね、全くそれらと縁のない男がヒーローとして突如現れちゃったんです。それがアントマン。何故、アベンジャーズと絡まないのか?という理由もしっかり提示した上で、このニューヒーローがカヤ外で悪党と戦う!んです。MCUでありながら、単独作品としても成立させている、この絶妙のバランス。

でね、ストーリーも最高ですから。いや、ストーリーが最高ですから。凄い脚本練ったんだろうな、と容易に想像がつくほどの、巧みなストーリーテリングで。跳ね回るんですよ、ストーリーが。もうね、うねるうねる!マクロ世界とミクロ世界を行きつ戻りつして。
後半なんかたまりませんねぇ。ザッピング的展開、怒涛のアクション……最高のコメディ……トーマス。

そして、そして。そして何より観る者の心をぐっと掴んで離さないのは、ポール・ラッド扮するスコット・ラング=アントマンの存在そのものでしょう。大した倫理観も正義感もない前科持ちで、サーティワンをクビになっちゃって、それでも我が娘が大好きで何とかイイトコ見せたいおじさん。そんな彼が突如、何故か指名されちゃって、何故かスーパーヒーローになっちゃって。正義の心に目覚めちゃって。
この、今までになかった斬新なヒーロー像ね。最高でしょ。最の高でしょ。これを最高と言わずして、何を最高と呼ぼうか。

いやあ、これこそ初期衝動。これこそ原点回帰。アイアンマン1、インクレディブル・ハルクを観た頃のような、あの新鮮な興奮に再び出会えました。

ロロ・トマシ