「伊達にヒーロー業界を仕切ってません!」アントマン さぽしゃさんの映画レビュー(感想・評価)
伊達にヒーロー業界を仕切ってません!
そもそもアベンジャーズのメンバーは、ヒーローである前に一芸にも二芸にも秀でた人達なんです。
・アイアンマンのトニー・スタークは、大企業の社長、億万長者、天才のイケメン。
・キャプテン・アメリカのステーブ・ロジャーは、愛国心の塊である超人兵士のマッチョイケメン。
・ハルクのブルース・バナーは、遺伝子科学者のイケメン。
・ブラック・ウィドウは格闘技や狙撃の訓練を受けた、身体能力が並外れたスパイの美女。
・ホーク・アイは弓術の達人でイケメン。
・ソーにいたっては、神!でマッチョなイケメン。
今後このアベンジャーズに参戦予定のアントマンは、実は一芸には秀でてはいません。
アントマンのスコット・ラング(ポール・ラッド)は、元犯罪者で離婚暦あり。
奥さんは一人娘を連れて、なんと刑事と暮らしています。もうこの関係が、居たたまれないです!
スコットは出所してアイスクリーム屋さんで働くも、犯罪歴がバレてクビに。
頑張ってるのに。娘の為に良い父親になりたいのに!
だから、"アントマン"って名前に不服でも、スーツを着込んでヒーロー頑張るんです!
アイスクリーム屋さんの次の転職先が、アントマンなわけです。
何をやっても上手くいかない、空回ってる、ちょい残念で、ちょい可愛いおっさんのスコット。
そんな愛すべきキャラをポール・ラッドが演じてますが、神キャスティングだと思います。
ユーモア、おっさんの哀愁、格好良さ、優しさ、可愛さ。もう、絶妙ですよ!
思わず、応援してしまいますもの。
アベンジャーズ1&2に共通しているテーマって「俺達の地球を守る」ですが、アントマンは違います。
ただ娘のために!娘を守るために戦う!
ここに痺れました。
ラスト、危険な戦いに挑む瞬間に叫ぶ言葉が「アイ・ラァーヴ・ユー・キャァーシー!!!」
ですから。
あ、キャシーはスコットの娘です(笑)そしてこのキャシーが、大人になると実は……(伏線はラストに!)。
そう、アントマンが一芸に秀でてるとしたら、この父の"無償の愛"です。
この"愛"を持っているヒーローは、アベンジャーズの中に他にはいません。
またアント=蟻で、アントマンは1・5センチの小さな姿になるわけですが、蟻と交信しながら敵と戦います。移動手段は羽蟻のアントニーなんですよ!可愛い!
蟻が集団でスコットを助けるために、敵の拳銃に群がる姿は泣かせます!
今までのヒーローとは違う、社会的に目立たない、小さく、弱い者の声にも耳を傾ける、アントマンの優しい姿に惹かれます。
ストーリー的には「単純」という評価が、ネット上ではみられます。そうかもしれません。でも、そこが良いと思うだけどな。
元々、エドガー・ライト脚本、監督だった本作。
しかしエドガーとマーベルの方向性の違いで、途中で監督降板となりました。てか最初から合いそうにないですよね(笑)
本作はエドガーの脚本元に、ジョー・コーニッシュ、アダム・マッケイ、ポール・ラッドが手直しした作品となっております(オリジナルはかなり難しい内容だったみたいです)。
ヒーロー物でありながら、初代アントマン:ヘンリー・"ハンク"・ピムと、二代目アントマン:スコットの親子愛と確執に重点を置き、友情、恋愛が微量に絡んだストーリーになっていています。
勿論、かっけーアクションシーンもありますよ!
実はキャプテン・アメリカより強いんじゃない?と睨んでる彼とのファイトシーンは、一見の価値あり。
小さくなるって、こんな戦い方になるんだね!って、びっくりしますよ。
そこは流石のマーベルクオリティ。伊達にヒーロー業界を仕切ってません!
お色気シーンもありませんし、残虐なシーンもありませんので(あ、チューはしますが、微笑ましいです)、安心してお子さんと一緒に観に行けますよ。
今までのマーベル作品の中では、一番好きです。
また初代アントマンのヘンリー・"ハンク"・ピム役のマイケル・ダグラスは、"ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー"で感銘を受け、マーベル作品への出演を決めたそうです。
何故なら、本作も"ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー"と同じく、ユーモアと冒険のミックス加減が素晴らしかったからのようですよ。
全く同感です。
ミクロの世界を舞台にした映画となると、映画好きの皆さんは直ぐに「あぁ"ミクロキッズ(1989)"みたいなもんっしょ?」を仰ると思います。
でも、あれから26年。
映像の世界は、劇的な進化を遂げています。
どんだけ進化したか、映画館で確認されることをオススメします。
※マーベル作品お約束。エンドクレジット後を見逃さないように!