劇場公開日 2016年3月19日

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「古典に彩られた粋な世界観。笑って泣ける青春ドラマ!!」ちはやふる 上の句 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0古典に彩られた粋な世界観。笑って泣ける青春ドラマ!!

2016年3月21日
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笑える

楽しい

興奮

【賛否両論チェック】
賛:競技かるたを通じて絆を深めていく主人公達の爽やかな姿に、期せずして感動させられる。百人一首の1つ1つが、物語を巧に深く彩っていくのも、粋でステキ。
否:終わり方は、かなり出来すぎ感がある。百人一首に興味がないと、かなり退屈かも。

 「競技かるた」というちょっと特殊な世界に飛び込み、何度も壁にぶち当たりながらも、仲間を信じて乗り越えていく千早の姿が、非常に爽やかに描かれています。広瀬すずさん、そのキャラクターもまた、とってもキュートです(笑)。
 そして、そんな千早を温かく見守りながらも、彼女が新を想い続けていることにどこかで嫉妬し、その心の傷を背負い続けている太一の葛藤や、そんな2人を想いながらも、家族のために別れる道を選んだ新。主人公を取り巻く幼馴染み2人の絶妙な三角関係も、青春ドラマに欠かせない重要な要素になっています。
 また、大会までバラバラだった「かるた部」が、実戦の中でぶつかり合い、やがて1つになっていく辺りは、ありがちだと分かっていても、感動してしまうところです。特に、人一倍かるたとは距離を保っていた〝机くん”が、何度も挫折しかけ、その度に成長していく姿は、なんだかすごくカッコイイです(笑)。
 それから何といっても、劇中で登場する
「ちはやぶる 神代(かみよ)も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは 」

「このたびは 幣(ぬさ)も取りあへず 手向山(たむけやま) 紅葉の錦 神のまにまに」
なんかが登場するように、主人公達の絆が百人一首によって繋がっていく描写が、とっても粋ですね。個人的には、
「もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし」
の解釈のシーンが、とっても印象的でステキでした。
 ラストはやや出来すぎていて、思わず
「いやいや~(笑)」
とニヤけてしまいそうですが、それでもなお感動してしまうくらい、とっても純な青春ドラマに仕上がっています。「下の句」抜きでも楽しめると思いますので、是非ご覧になってみて下さい。

映画コーディネーター・門倉カド