アニキ・ボボ

劇場公開日:2025年11月14日

解説・あらすじ

「アブラハム渓谷」「クレーヴの奥方」などで知られるポルトガルの巨匠マノエル・ド・オリベイラ監督が1942年に発表した長編デビュー作。オリベイラ監督の故郷であるポルトの街を舞台に、子どもたちの躍動を簡潔かつ大きなスケール感で描き、ネオレアリズモの先駆的作品とも言われる。

ドウロ川近郊に暮らす少年たち。内気な夢想家カルリートスと、恐れを知らないリーダーのエドゥアルドは、グループで唯一の少女テレジーニャに恋心を抱いている。ある日、カルリートスはテレジーニャが欲しがっていた人形を盗み、彼女にプレゼントする。しかしこの出来事をきっかけに少年たちの間に緊張が高まり、カルリートスはグループから仲間はずれにされてしまう。

2025年・第82回ベネチア国際映画祭クラシック部門にて4Kレストア版がプレミア上映された。日本では、25年11月に4Kレストア版で劇場公開。

1942年製作/72分/G/ポルトガル
原題または英題:Aniki Bobo
配給:プンクテ
劇場公開日:2025年11月14日

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(C)Produções António Lopes Ribeiro

映画レビュー

3.5 午前3時に頑張ってもロクなことにならないよ

2025年11月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ポルトガルの巨匠オリヴェイラ監督のデビュー作。一見教育映画的だか、子供たちの世界に潜む単純さと残酷さを隠し味風に織り交ぜている。

ドウロ河沿いの石畳、階段、鉄道、猫など牧歌的な情景が本当に素晴らしい。

女の子がマドンナ一人しかいないんだったら、そら取り合いになるだろうなあ。でもあんなチヤホヤされたら、将来性格悪くなりそう。
命がけで盗んだ人形があんまり可愛くなかったのもリアル。

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sugar bread

4.0 少年が犯した罪とその罰?と優しさ

2025年11月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

あの大名作マイベストワンの
自転車泥棒より先に作られたとは!

予備知識なく観ていて、なんか似てるなぁとは思いました
素朴な素朴なガキンチョ男児あるあるの世界は
世界万国共通の普遍があり
親しみやすくて懐かしい

対するは大人の毅然とした姿
これから大人になる子供たちへのふるまいが
なんとも素敵で
厳格さと寛容のバランスに胸打たれました

オリヴェイラ作品は、やっぱり豊かだなあ
品格を感じる児童映画でした

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青樹礼門

5.0 少年時代の自由と孤独。川、影、汽車

2025年11月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

1942年。マノエル・ド・オリベイラ監督。内省的な少年は小学生グループのなかでも浮きがち。グループリーダーの少年と仲の良い少女を気にし始めると、なにかとリーダーから嫌がらせを受けるようになる。少女がほしがっている人形を手に入れて一気に仲良くなろうとする少年だったが、、、という話。
少年少女を描きながら、「自由と孤独」のテーマを丁寧に描く手法がすばらしい。わらわらと走る少年たちの姿だけで気分が晴れてくる。少女をめぐる淡い思い、リーダーとのいさかいや盗んだ人形をめぐる正義と反省、商店主や警察官や教師といった大人をめぐるやりとり。それぞれが微妙に絡み合って、カバン、人形、帽子、といった小物が上手に配置され移動していく。なんと自由な映画か。
子どもたちの社会にも支配秩序があり、そこから自由になることは孤独になることでもある。孤独を引き受けてあまりある思い(恋)があれば問題はないが、そのために、子どもたちはどこまで「正義」を忘れることができるのか。どこまで「誠実」を考えずにいられるのか。そして、恋も自由も友だちも手に入れる手段はないのか。映画はその答えを描いているように見える。
子どもたちの背景には、悠々と川がながれ、どきりとする自分自身の影が揺れ、すべてを吹き飛ばす力として汽車が走る。大いなるものとの関係で自身を定義していく、だれもが通過した少年時代を描いた映画。すばらしい。

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