「それ」イット・フォローズ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
それ
事前に情報を仕入れないで見たら、びっくり仰天の怪作だろう。
何せ、
恋人とのSEXの後、睡眠薬で眠らされたヒロイン。
気付くと、廃墟で椅子に拘束されていた。
そして恋人から、ある衝撃的な話を聞かされる。
SEXで“それ”に感染し、別の相手とSEXして“それ”を感染させなければ、“それ”に執拗に狙われ、殺される…。
下手すりゃそこら辺に氾濫する低予算ティーン・ホラー、いやもっと言えば、キワモノ。
しかしながら、批評家絶賛、ロッテントマト高評価。
アイデアと新鋭監督の手腕が冴えた、怪作…いやいや、快作ホラー!
迫りくる“それ”が不気味。
“それ”は時には若者の姿で、時には老人の姿で、時には見知った姿でゆっくり歩き近付いてくる。
“それ”は神出鬼没、いつ何時現れるか分からない。
彼方から歩いて近付いてくる事もあれば、突然家の中、目の前に現れる事も!
“それ”はヒロインや感染した人物、そして見ている我々観客には見える。
が、他の登場人物には見えない。
今画面に映っている人物は“それ”かただの通りすがりか、妄想か狂言か現実か、ヒロインと一緒になって恐怖を体現。
ヒロインと友人たちとの青春ドラマ、微妙な恋愛感情が覗く青春ラブストーリーの要素も挿入。
一応真面目なホラーだが、“それ”の突飛な見せ方が時折“笑い”にも見えるユニークさ。
不穏なムードを醸し出しつつ、何処かアンニュイな雰囲気も漂わせ、音楽も含め、80年代のホラーを彷彿。
そして何より、「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」のヒロインにも抜擢された主人公のマイカ・モンロー!
残念ながらヌードシーンは無いが、キュートな魅力とほんのり色気をたっぷり堪能。
ホラー×美少女は鉄則!
じわじわ煽る迫りくる恐怖、設定など、すでにあちこちで指摘されている通り、あの傑作ジャパニーズ・ホラーを思い浮かべる。
見えない、分からないから怖い。
万国共通の恐怖。
“それ”が何かは見た人それぞれに委ねるとして、別の見方をすれば、ある意味合いが込められている気がした。
相手構わず性行為を持つ若者。
そのツケとして感染する病気。
“それ”は具現化した撲滅メッセージ…かもしれない。