いつだってやめられる 7人の危ない教授たちのレビュー・感想・評価
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よく分からない専門知識を軽視してはいけない
イタリアの大学の研究費削減で職を失った大学教授たちが、自らの専門知識を生かして犯罪で一儲けするというコメディ。監督は大学教授が込収集の仕事をしているというニュースに出会い、この映画の構想を思いついたそうだが、社会への皮肉を見事にエンタメに仕立てている。
大抵の犯罪は、貧困が原因であるわけだが、イタリア社会ではエリート研究者たちもが不況の煽りで職を失っている。専門分野の研究は、一般人にはそれらがなんの役にたつのかわかりにくい。だから世論に押されて大事な研究も予算削減の対象になる。
その果てに社会は大事な知の集積を失う。それは結果的には国力を失わせるだろう。本作はそこにとどまらず、研究者たちの能力が犯罪に活かされれば、こんなにも恐ろしいのだと警鐘をならす。皮肉なことに犯罪のほうが、彼らの専門知識のスゴさが一般人にわかりやすく伝わるのだ。見事な風刺コメディだ。
歴代コメディでも上位の面白さ
最初の大学での場面から西洋のコミックを思わせるような独特な色使いで、この作品はコメディなんだよと強烈にアピールしてくるよね。合法ドラッグキメテ観るコメディの世界観なんだよ。
そんな中を、のんびりしたイタリア人たちが早口でまくし立てる(大したことは言ってない)のを楽しむ作品で、出だしからずっと笑いっぱなしというくらい笑わせてもらった。
ストーリーはすごくシンプルで、想像できる範囲で一番ベタで無難なものだけど、逆にハチャメチャやってバカやって笑いをとる事をしなかったのは好感が持てるよね。おバカコメディではなく、もっと知的なコメディなんだよって気概っていうのかな。
元教授たちが語彙力豊富なこととか、真面目で理論的だからこそ物事がズレていくこととかを笑うんだ。
そしてエンディングは、この物語の総括的な締めくくり方で、最後まで笑いをとりにきたし、気が利いていて素晴らしい。だろ?
テイストはオーシャンズ11だが。
“いつだってやめられる”…?
食っていけない大学教授たち。仕切っているムレーナももとは同じ境遇というのは根深い。
彼らがこの状況から抜けられる時はくるのだろうか…そういう意味でいつだってやめられるというタイトルは面白い。
ドラッグの引き渡し場所としてロマの結婚式がどこよりも安全というのは感覚的にもよくわからないところ。
ラテン語で会話する2人が好きだった。
わめき過ぎ
リーマンショックやギリシャの負債でEUが不景気で大変だった時期、シビリア監督は首席の学者がごみ収集員に身をやつすというニュース記事を読んで本作のアイデアを思いついたそうです。
アメリカでもアポロ計画の終焉で失業した技術者が巷に溢れテレビゲームが生まれたという話を聞いたことがあります。日本でも研究開発費の削減で研究者が職を失う報道は耳にしますし、コロナの国産ワクチン開発の遅れの一因ともいわれていますね。
背に腹は代えられず、特技を生かすといってもゲーム開発ならまだしも危ない薬物商売では褒められた話ではありませんね。
テーマからすれば社会派ドラマなのでしょうが基調は風刺コメディなので役者に学者の知性が感じられないし、終始大声で誰かがわめいているばかり、うるさくて話に入っていけません。
シビリア監督、初の長編映画、ラテン系ならではのハイテンションが喜劇の芝居との理解なのでしょうか、音楽も騒がしい。流石に反省したのか続編では抑え気味になりましたが本作は酷かった。
イタリア映画っぽくないイタリアン・コメディ
映画の感想以前に、まずはイタリア映画がなかなか輸入されない事実を強く感じる。
この作品も2014年本国公開が2018年にようやく日本へ輸入されたと聞く。
その「貴重な」日本公開のイタリア映画。頭はいいのにチャンスに出会えず、大学教授でありながら、現在は他の仕事に就いている7人の男たち。合法麻薬を製造して稼ぐ姿は笑えるが、個人的には「これ、イタリア映画?」と首を捻ってしまう。
ストーリー自体は面白いけど、7人のキャラが充分に活かせてない印象が強い。まあ、短い時間の中でそれを観客に伝えるのは無理かもしれないが、欲を言えば脇役の面白そうなキャラ(例えば考古学者の人)がもっと頑張ってくれたら面白かったのに。
更にテンポが緩く、クライマックスももっとスリリングでありながら笑えるシーンがあればよかったのに。
個人的にはイタリア映画が好きで、特に60年代〜70年代の作品を好んで観賞する。
フェリーニやヴィスコンティなど国際的に有名な巨匠がいる中で、何処かの国でヒットした映画の二番煎じな作品がウヨウヨあり、ある意味で本家を超えた面白さがある、それを見つけるのが楽しみの一つ。なんか下品にパワフルな感じがいい。(よく意味が判らないかもしれないが・・・)
そんな中で「黄金の七人」って映画を思い出した。これもコメディ寄りの犯罪映画で「七人」といいながら「教授」と呼ばれるリーダーとその情婦中心にストーリーが進み他の仲間は黒子並の扱い。只、音楽や奇抜な金塊強奪シーンはイタリア映画黄金期の娯楽作品の中ではトップクラスな出来だったと思う。今、この比較的最近(なにせ7年前の映画だもんなぁ〜)のイタリア映画を観て、音楽はロック、笑いも従来のドタバタでもなく割とクールにブラック風味な感じで、イタリア映画の「今」を観たような気がする。
レビュー
上等なクライムサスペンス
スマートじゃないオーシャンズ11
この映画を観て感じた率直なイメージが、「全然スマートじゃないオーシャンズ11」でした。
様々な分野でのエキスパート達がチームを組み、それぞれの得意分野を活かしながら大きなプロジェクトを達成する。このあらすじだけを観れば完全にイタリア版オーシャンズ11です。やったことがカジノ強盗か麻薬密売かの違いはありますが。
元大学教授の天才たちが教授職を追われアルバイトで生計を立てていたところ、主人公のピエトロが「脱法薬物の製造販売」というビジネスを発案し、元教授たちがそれぞれの得意分野を活かしてビジネスを成功させる。しかし、マフィアの縄張りで商売をしてしまったことで、マフィアのボス・ムレーナに目を付けられてピエトロの奥さんが誘拐されてしまうというストーリー。
この作品はジャンルは「クライムコメディ映画」です。オーシャンズ11がスマートでカッコいいエリートたちの完全犯罪を描いた作品であるのに対し、この作品は天才であるが故に世間ずれしている元大学教授たちが慣れない犯罪を頑張る姿をコメディタッチに描いた作品です。マシンガンのようなイタリア語での会話劇は、それだけで面白く観られます。
最後にはマフィアのボス・ムレーナをとあるトリックで出し抜き、誘拐されていた奥さんを取り戻す展開は見ごたえがあって良かったと思いました。
ただ残念ながら、最後にムレーナを出し抜いたトリックは正直そこまで「凄い!」と思えるようなものでは無かったし、誘拐されてる奥さんもピエトロと電話して「解放されたらお前の鼻をへし折ってやる」と軽口を叩けているくらいなのであまり緊迫感が伝わってきません。最後のムレーナとの対決のシーンで、もう少し緊迫感のある演出がなされていれば、前半のコメディとのギャップで盛り上がったんじゃないかと感じました。
ただ全体的に観れば普通に楽しめた作品であり、次の作品も観てみようかなという気にさせるくらいには面白かったです。
イタリア版ブレイキング・バッド
リストラで職を失った大学教授、神経生物学の主人公は合法ドラッグを思いつき、同じような境遇の元教授に声をかける。
いろんな学問に長けている元教授たちの力で大儲けするのだが・・・。
イタリアのノリでコメディが展開、早く追い付かないと・・・。
タイトルなし
3部作第一部
これは、コメディなのだろうか
メインタイトルは本作中のセリフから
ほんとこれ
本年最後の劇場鑑賞1本目。 怖すぎて笑えない。干された大学の先生が...
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