劇場公開日 2016年3月5日

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「【”天晴!イタリア男性社会で奮闘する女性建築家が、自らの生き方を貫く姿が素敵です。”イタリアーンなユーモアコメディ。】」これが私の人生設計 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”天晴!イタリア男性社会で奮闘する女性建築家が、自らの生き方を貫く姿が素敵です。”イタリアーンなユーモアコメディ。】

2025年1月20日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

知的

幸せ

ー イタリアって、日本と同じ男性社会だったかな。女性を尊重する社会だと思っていたのだけれどな、などと思いながらクスクス笑いながら鑑賞した。-

■幼少期から天才的な絵画、設計のセンスを誇った建築家のセレーナ・ブルーノ(パオラ・コルテッレージ)。
 中国、ドバイ、ニューヨークなど世界中でキャリアを積み、故郷・ローマに戻ってきたが、男性中心の建築業界では思うような仕事に就けずにいた。
 さらに、恋したトラットリアのイケメン、フランチェスコ(ラウル・ボヴァ)がゲイだと判明し、失恋するが彼はセレーナに優しい。序でに彼の恋人二コラ(マルコ・ボッチ)も優しい。
 彼らの励ましの中、セレーナは公営住宅リフォームの公募に応募し、見事に選ばれるが、有名建築家のリパモンティ(エンニオ・ファンタスティキーニ)が、セレーナを男だと思い込んだ事から、物語はめんどくさくなっていく・・。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・今作は、今から10年前の作品であるが、日本の女性の管理職比率は依然として世界最低基準である。
 それは、男女雇用機会均等法が施行されてから随分経つのに、社会が女性の活躍できる環境をキチンと整備していないからだと思っている。
 実際に、管理職に登用しようとしてもご本人が断るケースを多数見て来ているから、そうは間違ってはいないと思う。
 だが、今作はそんな理不尽な状況をコメディで笑い飛ばしている所と、男性(特に有名建築家のリパモンティの描き方ね)を、少ししょーもないヒトとして、描いている所が好感が持てるね。

・セレーナを応援するフランチェスコを始め、多くの人が実は彼女を応援している所が良いのだなあ。
 男性セレーナに扮して、日本に行っているふりをしてTV会議に出る上半身はビシッと背広、下半身はパンツというフランチェスコのおバカな姿や、背景の桜が満開の大阪城の写真が貼られたボードを必死で支える二コラの姿が、可笑しい。

・セレーナがデザインした設計図に対し、何にも分かっていない有名建築家のリパモンティが、言葉を挟むとセレーナは我慢しきれずに、バシッと彼の設計思想の瑕疵を指摘し、会社を去るシーン。
 彼女に対し”良く言った!”という眼差しで微笑んでから、それまでリパモンティにおべんちゃらを言っていた秘書のミケーラ(ルネッタ・サヴィーノ)を筆頭に、リパモンティの部下たちが掌返しするシーンは可笑しかったなあ。

<そして、セレーナはコピー取りだったセレーナの図面の良さを一目で見抜いていたモヤシじゃなかったピエトロ(コッラード・フォルトゥーナ)と恋に落ち、家族やフランチェスコたちと、楽しく食事を摂るのである。
 今作は、イタリア男性社会で奮闘する女性建築家が、自らの生き方を貫く姿が素敵な風刺の効いたコメディ作品だと思います。>

NOBU