「喜劇仕立ての抗議文」これが私の人生設計 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
喜劇仕立ての抗議文
お正月から殺漠としたバイオレンスや悲しい物語は見たくないのでイタリアのコメディ、本作を鑑賞、ラテン系ならではの明るい展開で面白いのだが、観たばかりの「ボヘミアン・ラプソディ」に続いてゲイの彼氏が活躍する映画?、またですか・・。
凄腕の女性建築家が大規模共同住宅の改修プランに応募する話なのだが女性だと相手にされないので一計を案じる、頼るのはいかにもイタリアのちょい悪オヤジ風なのだが・・、プロットは観てのお楽しみ。
原題のScusate se esisto!(私が見えますか!)は面接で男性陣に「無視しないでよ、失礼ね!」って言うセリフからでしょう。
素敵なコメディ、登場人物もバラエティに富んでいるし小技も笑える、子供の描く画がミケランジェロ並みだったり、音楽を使ったおふざけも秀逸、おもわず吹き出してしまった。
女性建築家といえば新国立競技場の最初の候補だったザハ・ハディッドさんが思い浮かぶが建築業界は未だに男性優位社会、彼女は稀な成功者だったのだろう、全米建築家協会によれば建築事務所で監督責任者として働く女性の割合は5パーセント程度だそうだ。本作は実際に2009年に行われた、ローマのコルヴィアーレ再生計画のコンペで一等になった、女性建築家グエンダリーナ・サリメイの「CHILOMETRO VERDE(緑の空間)」からヒントを得たそうだ。彼女も困難があることは確かだが女性ならではの視点が有利になる場合もありプロジェクトでは仲間たちに認められているそうだ。
建前は別として本音が通じにくいメッセージ、ヒステリックに叫んでも逆効果なのでコメディ仕立てでどうでしょうという狙い、風刺まじりは喜劇の王道でしょう。
良くできたコメディ、リモート会議は日本の設定、仕掛けは実にキャッチ―でした。
ラウル・ボバも好演ですがゲイねたが満載すぎて微妙、いちゃつくシーンは声だけだがヒロインがハンドミキサーで野菜をかき回すシーンを被せるのはモンティパイソンばりのメタファーでしょう。
イタリアはモードの国なので業界人にはイケメンでハイソなゲイが大勢いるらしい。「いい男はみんなゲイ!」というのもイタリア女性の本音なのかも。
監督も?と思ったらキュートなコメディエンヌ、ヒロインのパオラ・コルッテレージさんはリッカルド・ミラーニ監督の奥様でした。