ふたつの名前を持つ少年のレビュー・感想・評価
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最後の決断は民族の誇りか父の遺言か
2015/09/01、109シネマズ川崎で鑑賞。
冒頭で父が主人公の少年に託した名前も父も母のことも忘れてもいいから、ユダヤ人であることを忘れるな、という言葉、まだ右も左も分からない子供に民族の誇りや宗教を押し付けるのは親のエゴではないかと感じた。
その後親と別れて一人キリスト教徒になりすまし、ナチス親衛隊から逃れながら、いろんな大人に助けられたり裏切られたりしながら生きていく。
悪い大人にも会ったがたくさんの良い大人にも助けられた。
束の間の幸せを手に入れたりもしたが、それはユダヤ人であることを隠せたから。ユダヤ人として生まれたことを相当恨んだだろうに、最後に少年に迫られた決断を選んだのは民族の誇りからだったのだろうか、それとも父への思いからだったのか。
このような経験を二度としたくない思いでイスラエルという国家を作り上げたシオニストたち。しかし今度は同じような苦しみをパレスチナ人たちにさせている。映画の最後にそんなやるせなさを感じた。
走れ!走れ!
う〜ん、邦題の意味は物語の核心を突いているのですが、原題の意味(生きろ!)からは外れていると思います。初め邦題を見た時、スパイ作品かと思ってしまいました。
ユダヤ人少年へ手を差し伸べる人が以外に多いので、作品が悲惨な方向に100%傾かなかったのは良かったです。
双子の笑顔の愛らしさたるや。
ヒューマントラスト有楽町で初鑑賞。これまで何作か(「縞模様のパジャマの少年」「悪童日記」「愛を読むひと」など。)”あの頃”が描かれた映画を観てきたけど、特に「ゲシュタポ」や「ソ連軍」「ユダヤ人」「傍観者」の描かれ方が今までで一番鮮明だと思った。そして、すごく詳細まで描かれている。例えばユダヤ人の見分け方を「割礼しているか否か」で判別していたり。
鑑賞後にパンフレットをぱらぱらめくっていたらキャストのところに二人の名前が書いてあって、双子が演じ分けているのだと知って驚いた。確かに、犬が銃で打たれてしまって泣いている時、みんなが離散してしまって泣いている時に見る”優しさ”、嘘方便(これには隣で観ていたひとも笑っていた。笑)、ゲットーから逃げ出す時、右手を失くした事実を受け止められない時に見る”勇気・反抗”。それぞれ表情豊かに演じ分けているから、すごいなこの子は!って思っていたけれど、二人だったなんて。笑
氷山の一角
実話ということだが、生き延びたユダヤ人の内の氷山の一角なんだろう。それぞれにドラマがあり…。
ユダヤ人だからと言って理不尽な扱いを受けた事実と、一方で、それを快く思わず手をさしのべる人達がいたことも事実なんだろう。
それって、日本の太平洋戦争の時も同じではないだろうか?
驚くべきは、この映画はドイツとフランスの製作で、さすがに直接的なナチスの残虐行為は描いていなかったけど、明らかにナチス(ドイツ)に分がない状況を説明しているところではないか?
例えは良くないかも知れないが、日本で従軍慰安婦の映画を作るようなもので、それだけ客観視している(ある意味で他人事?)ことが、日本との大きな違いなのではなかろうか?と、映画とは関係ない感想を持った。
よい作品なんだけど・・・
ユダヤ人とポーランド人との違いは、男の場合あれの皮で分かるのだという。ポーランド人だと偽っていても、ユダヤ人である証拠をつかむためにズボンを脱がされることを強要されるシーンが所々あり、女性にとってこの映画を見るには複雑であろう。事実なのだろうけど、男の私でもちょっと興ざめする映画であった。いい作品なのに評価がもうひとつ上がらないのは、これのためであろうか。そういうところを全部でなくても、もう少し省いてくれたらな、と思った。
他人に手を差し伸べるられる強さ。
ビジュアルの少年の瞳に惹かれ観に行きました。
主人公の実話であるものの、原作が児童文学と言うことともあるせいか、表面的に少年の逃避行を追った感じで、悲惨な内面の描写が少なくちょっと名作劇場的な感じもしました。
しかし悲惨な状況下の中でも、少年に手を差し伸べる人々の強さ、暖かさに心うたれました。
レビューの通り、抑制感が程よい
生き延びる。survivorとして、ユダヤ人のDNAを子孫に伝える。淡々と程よく抑制された映画でした。最後のあたりの、ユダヤ人の保護管が少年に真剣に話す場面、そして道は二つあり、どちらを選ぼうと君の自由だと言い所、あそこが良かった。
ユダヤ人の置かれた歴史的状況はよく分かりますが、だからと言ってパレスチナ人をガザを、虐殺してはいけない。己の欲せざる所、人に施すなかれ、なんですが、イスラエル兵はやられた事を同じ様に弱き立場の人にやってる。それを暗喩する場面も、必要。野火よりははるかに良かった。
生き延びろ、ユダヤ人であることを忘れずに
キネコ国際映画祭(旧・キンダーフィルム・フェスティバル)にて、吹替ライブシネマで鑑賞しました。上映の場で声優たち(声優科で勉強中の学生たち)が台本片手に吹替えるというもので、その迫力は一入(ひとしお)でした。
戦時下のサバイバル譚であるが、スルリック=ユレクを演じる少年の名演もあって、凄まじい迫力である。
(少年を演じていたのが、双子の兄弟と知ってビックリしたが、そういえば、ところどころで若干顔つきが違うなぁとは思ったのですが)
生き延びるためにキリスト教徒を装っていた少年が、いつしかキリストや聖母マリアに心を傾けていくさまなど、少年の心情の揺らぎも感じられて興味深い。
(手に入れたロザリオを手放そうとするが、もういちど手に取るシーンなどで、それが感じられます)
このような描写があるので、ラストシーンが活きてきます。
すなわち、終戦後、ユダヤ人孤児の救済センターの職員が来て、ふたつの道を示すシーンである。
左は、最後の最後まで少年の面倒をみて助けてくれたポーランド人一家へと続く道。
右は、ユダヤ人孤児救済センターへと続く道(この道は、遠くイスラエルまで続いていることが仄めかされている)。
この左右ふたつの道は父親が遺した言葉「生き延びろ」「ユダヤ人であることを決して忘れるな」のふたつでもある。
揺れる少年の心であるが、少年はユダヤ人であることを選ぶ。
静かであるが、力強い決断でもある。
その後のエピローグが描かれ、ここでビックリした。
年老い、イスラエルで暮らす少年の姿が写し出される。
老人は、あの少年の本物の姿であり、この物語は実話であったのだ。
(チラシの裏などには書いてあったんだけれど、読んでいませんでした)
それにしても、壮絶な生き様だったのですね。
「戦争は残酷、悲惨」は、いわずものがな。
RUN BOY RUN
日本語のタイトルが悪すぎると思う。決して名前がキーになっているお話じゃないのに、なんでこんな笑えない邦題をつけるのか、コモンマンの自分には理解できません。
まさにラン・ボーイ・ランと言うにふさわしいストーリーだったと思う。あてどなく生き抜いていく中に展開される、人間の優しさと醜悪さ、そして出会いと別れ・・・戦争という枠を越えて、エンターテインメントとしても楽しめる要素もたくさんあったように思う。それ故に若干の物足りなさも感じてしまうかも─。
時を自在に飛び越えるような構成は上手くはまっていたように思う。
映し出される絵は非常に美しく、まさにヨーロッパにおける伝統絵画を全て継承しているような映画であった。
中盤までは食い入るように見て、所々涙する場面もあったが、後半になるにつれて演技も絵も中途半端な印象を持った。
非常良い部分とあまり感心しない部分とを併せ持った映画のように、自分の目には映った。
ミクロの視点で描かれる、戦争の悲惨な真実。
【賛否両論チェック】
賛:“迫害”という凄惨な日々の中でも、手をさしのべてくれる人々の温かさが身に染みる。戦争の持つ負の部分について、深く考えさせられる。
否:歴史の予備知識がないと、退屈してしまうかも。最後の主人公の決断は、日本人の感覚からすると、やや理解しにくい部分もありそう。
戦争が生み出す“迫害”という悲劇の現実が、これでもかと描かれます。“ユダヤ人”というだけで暴力を受け、家を追われ、重傷を負っているのに手当てさえしてもらえない。そんな人間の悲しい一面がこれでもかと描かれ、思わずやりきれない気持ちになってしまいます。
一方で、そんな大勢に流されることなく、困っている者に温かい手をさしのべてくれる一部の人々の素晴らしさにも、思わず感動を覚えます。手術をしてもらえず、病院の廊下に放っておかれていた主人公を、年配の医師が見つけて激怒し、彼を手術室に運び込ませるシーンなんかが、特に印象的です。
歴史の知識があった方が、より感情移入出来る作品かとは思いますが、戦争の愚かさや悲惨さを痛感させられる、非常に社会派の作品です。
必死に生き延びようとする少年に引き込まれる。
ドイツ人に迫害を受けるユダヤ人少年の逃避行。
実話がベースらしい。それだからこそのこの微妙なバランスか。
追われるほうも追うほうも実に静か。派手な追いかけっこもなし。生きるために食事をとる、人とつながりを持つ、全てが妙な淡々とした日常の中で過ぎていく。それだけすべてのシーンが重く感じられる。
ユダヤ人というだけで生きることが許されなかった時代があるなんて。改めてその苦痛を知らされる作品でした。
救いの手
ユダヤ人であるが為に追われることになった子供が強く賢く生き抜いて行く様が良くかかれていた。
宗教や人種が子供には関係ないことだと理解してくれる人々のおかげで彼は生き残れたが、これがほんの70年前に実際にあったことなのだから愚かだ。
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