「【ユダヤ人の名を捨て、ポーランド人の名でナチスの追っ手を掻い潜り、生き抜いた少年の実話の物語。ポーランドのレジスタンスの人達が、命懸けでスルリックを護るシーンは、矢張り心に響くのである。】」ふたつの名前を持つ少年 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【ユダヤ人の名を捨て、ポーランド人の名でナチスの追っ手を掻い潜り、生き抜いた少年の実話の物語。ポーランドのレジスタンスの人達が、命懸けでスルリックを護るシーンは、矢張り心に響くのである。】
■第二次大戦下のポーランド。8歳のユダヤ人少年スルリックは強制居住区ゲットーを逃げ出し、ポーランド人だと身分を偽って放浪する。さまざまな人々や出来事を出会った果てに、ある一家の世話になって安堵するスルリック。だが、ユダヤ人であることがバレてしまう。
◆感想
・私は今まで、何作ナチス・ドイツの映画を観て来たのだろう。50本は観ていると思う。それは、高校時代にヴィクトール・フランクルの名著「夜と霧」を読んだからである。そこには、想像を絶するナチスの強制収容所に囚われた精神科医でもあった主人公が、冷静に収容所で何が起きていたか、何に希望を抱き生き延びたかが記されており、衝撃を受けたからである。
・だが、近年、ナチス・ドイツの蛮行を描いた映画の公開本数は減っている。時代的に仕方がないと思うが、ネオナチ及び極右政党のドイツ国内での台頭を観ていると心配になる。というか、世界全体が右傾化している気がする。
その最も分かり易い国が、アメリカであろう。
・その代わりに、ここ数年増えているのがロシアのウクライナでの蛮行をドキュメンタリー形式で描いた作品である。「マウリポリの20日間」などは、機会があれば観て欲しいモノである。又、イスラエルとパレスチナの状況を描いた映画も公開されている。良い事だと思う。映画は勿論、娯楽だが、世界情勢の危機的状況に対し、警句を発するモノだと思うからである。
<今作も、観ていてキツイシーンが多いが、ポーランドのレジスタンスの人達が、命懸けでスルリックを護るシーンは、矢張り心に響くのである。
だが、今後、出来れば実話に基づく新たな戦争映画が製作されない世界になる事を、切に望むモノである。>
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