「裁判で勝つ瞬間は山の頂点じゃなかった。クライマックスはそこじゃない...」黄金のアデーレ 名画の帰還 BOnbonさんの映画レビュー(感想・評価)
裁判で勝つ瞬間は山の頂点じゃなかった。クライマックスはそこじゃない...
クリックして本文を読む
裁判で勝つ瞬間は山の頂点じゃなかった。クライマックスはそこじゃない。サイモンが伝えたかったのは、金よりも愛が勝つということなんじゃないかな。
娘が祖国を断つ瞬間、父が最後に1つといって伝えた言葉が印象深い。「remember us」には、娘を思う気持ちというよりは、自分たちの存在意義が失われない事を祈るように聞こえる。そこに人間らしいわがままさがあって好きだった。自分が生きた証というのが欲しいと思うのが我々の性根だ。サイモンは人間味をあえて出すため、「いつでも君の味方だ」などという綺麗言ではなく、旅立つ子への最後のメッセージとして、正気さが伝わるようにしたんだろう。
ライアンがウィーンに行く前と後で、弁護士としての価値観が変わったと言った。その意味が映画が終わってやっとわかった。彼が欲しかったのは、家族を養う給料ではなく、正義と少しの名声だった、のかもしれない。
そして暴力に頼らない、論証によって解決する弁護士のやり取りはとてもスマートだった。
最後の回想シーンは、離れ離れになった家族がやっと1つになれたことを表していたのか。
「私を病院に連れて言った後、あなたはワシントンに飛んで」。それにしてもライアンの妻の歴然とした強さはすごい。
コメントする