「ヘレンミレン」黄金のアデーレ 名画の帰還 Kjさんの映画レビュー(感想・評価)
ヘレンミレン
なんともかわいい。アイインザスカイを見て間がないので落差がすごい。ユダヤ老婦人と若者というバディー感がたまらない。パイナップルアーミーでこういう組合せを読んだが。ライアンレイノルズの血が騒ぐこの映画の転換点、実によくできている。
戦争の罪をナチに棚上げするオーストリア人、ドイツ人よりも加害者意識が低くて済むかもしれない。そこを見事に貫いた問題提起は鮮やかでもある。
国の枠組みだと問題解決はしづらい訳だが、国の内外を超えて戦争において被害を受けた方には寛容であり、慰霊と同情の念を忘れぬこと、過去を知り過去を現在の教訓として平和を希求する意識をもって努力することの大事さを問う。コンフリクトを打開するために、安易に相手を否定して、自分の中で勝手に解決したことにしても、それは独り言の類。解決はもたらさない。
とはいえ、この映画はオーストリア政府を意図的に悪く描いている恐れがあるが。オーストリア側からこの話を描いたら、ゴリ押しのアメリカ、狡猾な弁護士が国宝を奪い取る話になるんだろうけど。
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