「錚々たる家系。」黄金のアデーレ 名画の帰還 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
錚々たる家系。
邦タイトルに今さらながら唸ってしまう。名画の帰還とは(拍手)
先日公開されたミケランジェロ~と同様、ナチス略奪品の奪還劇。
個人が国家を訴えて勝訴してしまったという凄い実話なんだけど、
万歳~めでたしめでたし~なだけではないところが複雑でリアル。
戦争の遺品は思わぬ場所で未だに被害者を翻弄する。占領された
祖国(両親)を捨て米国に亡命した女性マリアの名画返還に対する
熱意は姉の遺した手紙と共に自身が果たすべき使命だと描かれる。
とはいえ過去を掘り返すことは自身の辛い過去を振り返ることに
なり、あれだけ毅然としていた彼女がもういいと絶望してしまう。
ヘレンの名演が名画と匹敵するだけに成り立つようなドラマだが、
弁護士役ライアンがどうも個人的に不似合いに見えて覚束ないと
思ったのが後半、彼の大活躍で裁判が動き鮮やかな幕切れとなる。
なるほど、キャスティングに狂いはなかったんだなと改めて実感、
チラリ出演ながら記者役ダニエルの巧みな存在感が際立っている。
(しかしこの弁護士さん、大作曲家の孫だっていうのもすごいわね)
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